広告会社社長のロジャー・ソーンヒルは多忙で、今も秘書をタクシーに乗せて車内でスケジュールの確認中である。プラザ・ホテルで一人降りたソーンヒルは友人たちの待つラウンジへ向う。酒を飲む前に電報を打つ用事を思い出したソーンヒルはボーイに向って手を挙げるが、その手と”お客様のジョージ・カプラン様”の呼び出しの声が重なった。その様子を見ていた二人組は席を立ったソーンヒルに銃を突きつけ、人知れず車に乗せる。それはNYからラシュモア山までの苦難の道のりの始まりであった。

P・ボワローとT・ナルスジャックのミステリを、H=G・クルーゾーが映画化した作品で、「恐怖の報酬」(52)とはまた質の異なる突出したサスペンス描写に彩られた傑作。 舞台はパリ近郊の寄宿学校。校長のミシェル(P・ムーリス)は妻クリスティナ(V・クルーゾー)の莫大な財産の上に今の地位を築いていたが、その横暴ぶりにクリスティナの心労は極みに達していた。ミシェルの愛人でもある女教師ニコル(S・シニョレ)は彼女に同情し、二人して彼の殺害を企む。クリスティナとニコルは週末を利用してニコルの実家に赴き、ミシェルへ離婚の決意を告げる。やがて彼女を連れ戻そうと現れたミシェルは、薬入りの酒を飲まされバスタブで溺死させられる。死体をトランクに隠すと、学校に戻りプールの底に沈めてしまうクリスティナとニコル。後は死体が誰かに発見されるのを待つばかりであったが、なかなかその状況が生まれない。やむなく理由をつけてプールの栓を抜くことを命じるクリスティナ。だが、そこにはミシェルの死体など存在しなかった……。

アルフレッド・ヒッチコック監督の渡米第1作で、ダフネ・デュ・モーリアのベストセラー小説の映画化作品。イギリスの富豪のもとに嫁いだ後妻が、亡くなった先妻レベッカの幻影に悩まされていく。

デヴィッド・リンチ監督によるスリラー。ノース・キャロライナ州ランバートン。製材が主産業ののどかな町。よく晴れた日、大学生のジェフリーは、庭仕事をしていて突然異常な発作に襲われた父を見舞った病院からの帰り道、野原で異様な物を見つけた。手に取ってみると、それは何と切り落とされた人間の片耳だった……。

探偵フィリップ・マーロウがメキシコへと送った友人が自殺した。彼には妻殺しの容疑がかけられていた。一方、別件で行方不明の作家を探し出したマーロウは、彼が死んだ友人夫妻の知り合いだという事を知る。やがて、友人が持ち逃げした金を返せとギャングが現れる…。

前作から2年。CIAのパメラ・ランディは、ベルリンである事件の調査を行っていたが、何者かの襲撃を受け、調査チームの一人が死亡。時を同じくして、ボーンたちにも危険が迫る。人目を避けてインドのゴアで暮らしていたジェイソン・ボーンと恋人のマリーに刺客が迫り、マリーは殺されてしまう。ボーンはCIAが自分を始末しようとしていると推測してCIAを追い、CIAのパメラは現場に残されたボーンの指紋から襲撃犯はボーンだと考えボーンを追う。そしてベルリンとモスクワを舞台に、次第に「トレッドストーン計画」に隠された真実が明らかになっていく。

失踪したベストセラー・ホラー作家サター・ケイン。彼の行方を追う保険調査員のトレントは、アシスタントを伴い、地図に出ていない田舎町を目指して車を走らせる。町に近づくと、子供がだれ一人いない深夜に少年が自転車に乗って走るのとすれ違ったり、後に老人が同じ自転車に乗って走っていたり、夜だったのがトンネルを抜けると朝になっていたりと不思議な体験をする。絵の中の枯れ木が違うものに変容したり、愛想のいいお婆さんが悪鬼だったりと、小説が現実を浸蝕する悪夢の世界に巻き込まれていく。

新興の航空会社社長トムはある日、息子を誘拐され200万ドルの身代金を要求される。FBI協力のもと、息子を取り戻そうと奮闘するトム夫妻だが、身代金を払っても息子は生きて戻らないと悟ったトムは奇抜な行動に打って出る。それは、用意した200万ドルを身代金ではなく、犯人の首にかける懸賞金とする事と、息子を生きて返せばこの懸賞金を取り下げる事をテレビで発表したのである。トムの行動に世間は沸き立つが、これによって犯人グループの中にも不協和音が生まれることに…。

どこからともなく、ならず者たちが集う街シン・シティ。ストリップバーの看板ダンサーのナンシーは、なまめかしいダンスで男たちを癒やしながら愛していた刑事ハーティガンに死をもたらした街の支配者ロアーク上院議員に復讐するチャンスをうかがっていた。だが、ロアークは手段を尽くして力を拡大、さらに悪女エヴァの登場で街の腐敗は加速していく。そんな中、ギャンブラーのジョニーがロアークにポーカーで勝負を挑む。

互いに大事な人を殺し、運命的に出会ったふたりの女の子。意気投合し、あてのない逃避行の旅に出る。現金や銃を強奪し、男を誘惑してセックスしては殺していく“無敵のガールズ”ナディーヌとマニュの行き着く先は…。