プロテニスの花形選手だったトニー・ウェンディスは、資産家である妻のマーゴとロンドンのアパートに住んでいる。トニーはテニスのツアーのために自宅を留守にしがちだったので、それが不満だったマーゴとの夫婦仲は冷え込んでいた。夫の留守中にアメリカ人の推理作家マーク・ハリディとの浮気に走ったマーゴは、トニーと別れてマークと一緒になる気持ちに傾いていた。妻の浮気に気づいたトニーは、妻と別れるよりも、妻を殺害して資産を手に入れようと考え、緻密な殺害計画を練り上げる。
テリーは元ボクサーだが、落ちぶれた今は波止場で荷役をする日雇い労働者であった。テリーがボクサーをやめることになったのは、ギャングの一味である兄のチャーリーの指示で八百長をやってしまったからだったのである。 不幸にも、八百長試合の相手のウィルソンはタイトル戦に挑戦するまでのボクサーになった。 テリーはある日、地元のギャングであるジョニーの命令で、古い友人を呼び出し、結果的に殺害に関与してしまう。
P・ボワローとT・ナルスジャックのミステリを、H=G・クルーゾーが映画化した作品で、「恐怖の報酬」(52)とはまた質の異なる突出したサスペンス描写に彩られた傑作。 舞台はパリ近郊の寄宿学校。校長のミシェル(P・ムーリス)は妻クリスティナ(V・クルーゾー)の莫大な財産の上に今の地位を築いていたが、その横暴ぶりにクリスティナの心労は極みに達していた。ミシェルの愛人でもある女教師ニコル(S・シニョレ)は彼女に同情し、二人して彼の殺害を企む。クリスティナとニコルは週末を利用してニコルの実家に赴き、ミシェルへ離婚の決意を告げる。やがて彼女を連れ戻そうと現れたミシェルは、薬入りの酒を飲まされバスタブで溺死させられる。死体をトランクに隠すと、学校に戻りプールの底に沈めてしまうクリスティナとニコル。後は死体が誰かに発見されるのを待つばかりであったが、なかなかその状況が生まれない。やむなく理由をつけてプールの栓を抜くことを命じるクリスティナ。だが、そこにはミシェルの死体など存在しなかった……。
ある真夜中、マルホランド・ドライブで車の衝突事故が発生。ただ独り助かった黒髪の女は、ハリウッドの街までなんとか辿り着き、留守宅へ忍び込む。すると、そこは有名女優ルースの家だった。そして、直後にやってきたルースの姪ベティに見つかってしまう。ベティは、とっさにリタと名乗ったこの女を叔母の友人と思い込むが、すぐに見知らぬ他人であることを知った。何も思い出せないと打ち明けるリタ。手掛かりは大金と謎の青い鍵が入った彼女のバッグ。ベティは同情と好奇心から、リタの記憶を取り戻す手助けを買って出るのだが…。
アメリカの軍事コンピュータが、誤ってソ連に対する核攻撃指令を発してしまう。命令を受けた爆撃機は直ちにモスクワへ向けて発進、帰還可能ポイント=フェイル・セイフを超えてしまう。ソ連側の迎撃部隊も、爆撃機を撃墜することができず、ついに全ての手段は失われる……。
デヴィッド・リンチ監督によるスリラー。ノース・キャロライナ州ランバートン。製材が主産業ののどかな町。よく晴れた日、大学生のジェフリーは、庭仕事をしていて突然異常な発作に襲われた父を見舞った病院からの帰り道、野原で異様な物を見つけた。手に取ってみると、それは何と切り落とされた人間の片耳だった……。
ある日、何の理由もなしに、鳥たちが人間を襲い始めた……。たった一つのシチュエーションをもとにあらゆる恐怖を引き出した、ヒッチコックのサスペンス・ドラマの傑作。
ヒッチコックが、イギリス時代の自作「暗殺者の家」をリメイク。あるフランス人の死に立ち会ったベンは、断末魔の男の口から某国の首相暗殺計画を知らされる。やがてベンの口を封じるため、彼の息子が誘拐されてしまう。ベンと妻のジョーは、暗殺者がひそむ教会へと乗り込んでいく……。D・デイの歌う“ケ・セラ・セラ”が非常に効果的に使われるサスペンス・スリラーの傑作。
キンバリー・ウェルズはアメリカの地方テレビ局の女性リポーター。硬派ニュースの記者を志していたが普段は日常のたわいもないニュースを担当していた彼女だった。原子力発電所のドキュメンタリー特番の担当となり、カメラマンのリチャード・アダムスとともに取材に赴く。コントロールルームを見学中、原子力発電所は何らかのトラブルを起こしたようだった。そこは撮影禁止の場所だったにもかかわらず、アダムスは密かにそのときのコントロールルームの様子を撮影していた。
霧の都・ロンドン。テムズ河に女性の全裸死体が浮かんだ。今回も犯行手口は縞柄のネクタイによる絞殺。市民は姿なき殺人鬼の相次ぐ凶行に震え上がっていた。そんな折、元妻を殺され容疑者になってしまったリチャードは、友人のラスクに助けを求めるが…。
求人広告を見てやってきたのは、美貌の女泥棒マーニーだった。正体を知りながら彼女を雇い、やがて結婚するマーク。盗癖のある妻とそれを救おうとする夫の葛藤を巧みに描いた、アルフレッド・ヒッチコックによる心理サスペンス。
1980年、スペインのアンダルシア。湿地帯にある小さな町で、2人の少女の行方がわからなくなる。やがて彼女らは激しい拷問を加えられた果てに殺される。ベテラン刑事のフアンとマドリードから左遷されてきたペドロは、これまでにも似た事件が起きていたことを知る。調べを進めていくうちに、貧困、汚職、麻薬密売、小児性愛といった町と住人が抱える闇を目の当たりにするフアンたち。そんな中、新たな少女失踪事件が起きてしまう。<スペインの映画賞の最高峰であるゴヤ賞で、作品賞や監督賞などを受賞したミステリー。1980年のスペインを舞台に、少女強姦殺人事件を追い掛ける2人の刑事が事件の背後にあるさまざまな闇を目の当たりにする。メガホンを取るのは、『UNIT 7 ユニット7/麻薬取締第七班』のアルベルト・ロドリゲス。『アイム・ソー・エキサイテッド!』などのラウール・アレバロとアントニオ・デ・ラ・トレらが結集する。緊張感に満ちあふれた物語とタッチに圧倒される。>
車線変更(チェンジング・レーン)による些細な接触事故をきっかけに激しく憎しみ合うようになる二人の対照的な男の姿を描いたサスペンス映画である。