独軍の占領下にあったフランスの田舎で敵兵と密通して断罪された過去を持つ女優が、ロケのために広島を訪れ日本人の建築家と一日限りの情事に耽ける。そして知る、広島の悲劇。時あたかも8月6日。原水禁運動を背景に二人の孤独な会話が続く。焦土から奇跡の復興を遂げたその町は、死の影を決して忘れることはない…。
デンマークの郊外で両親や3歳年上の姉カロリーネと平和に暮らす、サッカー好きの11歳の少女エマ。けれどもある日、姉妹を前にして、両親が離婚することを突然宣言。その原因は、これからは女性として生きていきたいという父親のカミングアウトにあった。以後、ホルモン治療によって父親は日ごとに女性化し、名前もトマスからアウネーテへと変化。事態を冷静に受け止める姉とは対照的に、エマは当惑といらだちを隠し切れず……。