美しくてかわいく、それでいてどこか謎めいたところのあるリズボン家の5人姉妹。ヘビトンボが、美しい郊外の街を覆いつくす6月、そんな5人姉妹の末妹セシリアが聖母マリアの写真を胸に抱きながら、剃刀で腕を切った。一命はとりとめたものの、彼女は数日後、自宅で開かれたパーティーの最中、窓から身を投げて命を落とす。繊細でかつ危うさを秘めた思春期の少女達の揺れ動く心情を、巨匠F・F・コッポラの娘にしてこれが監督デビュー作のソフィア・コッポラが瑞々しいタッチで描いたドラマ。
父親を探すために渡米したイギリス人青年ジュードは、大学生マックスとその妹ルーシーに出会う。だが激動の60年代は彼らにさまざまな問題を投げかけて……。33曲のビートルズ・ナンバーに彩られたラヴ・ストーリー。
好奇心と才能に満ちた22歳の報道写真家ダン・エルドン。危険なソマリア内戦の取材中に、悲劇的な死を遂げたアフリカ育ちの若者のストーリーを語る伝記映画。
1976年タイのタンマサート大学で、左派学生と市民活動家らの集会に警察が乗り込み百人以上もの死者を出した“血の水曜日”虐殺事件が起こる。映画はこの集会に参加していた元活動家の女性作家に、ある映画監督がインタビューする場面から始まる。並行して描かれる有名俳優やウェイトレスの物語を行き来しながら、作品は徐々に一人ひとりの人生の断片を重ね合わせ、タイの現在を浮かび上がらせていく。過去と現在、虚構と現実、記憶と空間を交錯させて、既存の映画文法をスリリングに逸脱していく演出は圧巻で、ロカルノ、ロッテルダムをはじめ世界数十カ国の映画祭で上映され高い評価を集めた。