アメリカ人青年ジェシーと、ソルボンヌ大学に通うセリーヌは、ユーロートレインの車内で出会った瞬間から心が通い合うのを感じる。ウィーンで途中下車した2人は、それから14時間、街を歩きながら語り合い…そんな自然な会話の中から、彼らの人生観、価値観、そして心の奥の微妙な揺れ動きが見え隠れする。でも別れのときはもう迫ってきていた…。

A committed film director struggles to complete his movie while coping with a myriad of crises, personal and professional, among the cast and crew.

イタリア映画界が生み出した早熟の天才監督として世界中から注目を浴びていた、当時まだ29歳のベルトルッチ監督(「ラストエンペラー」)が、A・モラヴィアの原作を鮮烈なタッチで映画化。忌まわしい過去の悪夢を葬るため、ファシズムに追従して生きる道を選んだ主人公の運命を、光と影、色彩の綾をなす官能的な映像美を通し、全編スタイリッシュに描写。撮影の名手V・ストラーロの絶妙のカメラワーク、主演のJ=L・トランティニャン(「愛、アムール」)の熱演、若きD・サンダのクールビューティーぶりも必見。 13歳の時、友人にいじめられているところを救ってくれた同性愛者の青年に拳銃を発射して逃げ去るという体験をして以来、罪の意識を抱いて大人に成長したマルチェロ。哲学講師となった彼は、けっして異端者になるまいと決め、祖国のファシズム体制に付き従い、プチブルの娘ジュリアと婚約を交わして平穏に過ごすが、ファシスト党から、かつての恩師でパリに亡命したクアドリ教授ら反ファシスト組織の動きを探るよう命じられ……。

1950年。第二次世界大戦の終結による満州国の崩壊と国共内戦の終結により、共産主義国である中華人民共和国の一都市となったハルビン駅の構内。5年間にわたるソビエト連邦での抑留を解かれ、中華人民共和国に送還された「戦犯」達がごった返す中で、列から外れた1人の男が洗面所で自殺を試みる。男は監視人の手により一命を取り留めるものの、薄れ行く意識の中で幼い日々の頃を思い出していた。この男こそ清朝最後の皇帝にして満州国の皇帝、「ラスト・エンペラー」と呼ばれた愛新覚羅溥儀その人であった。

スペイン出身の異才ルイス・ブニュエルが1928年に手がけた実験的短編作品。共同脚本にサルバドール・ダリ。20年代に最高潮に達したアバンギャルド映画の頂点を飾る傑作で、60年には、28年の完成当時上映に際してブニュエル自らが蓄音機を回していた音楽を選び、自らサウンド版を作成した。目玉を切り裂くカミソリと月を遮る一筋の雲のほか、手のひらからはい出してくる無数の蟻など、悪夢的で奇怪なシーンの多くで知られ、作品が発表された当時、ジャン・コクトーら同時代の芸術家たちにも支持された。

金持ちの妻と結婚して退屈な毎日を送っていたフェルナンドは、再会した昔の愛人マリアンヌと一晩を過ごす。翌朝、部屋には首に鋏を突き立てられた男の死体があった。

映画「イノセンス」の舞台は、人々が電脳化され、声を出さずとも、コンピューター端末を打たなくとも、ネットワークを通じたデジタルコミュニケーションが可能になる一方、肉体の機械化も進み、人とサイボーグ、ロボットが共存する、2032年の世界。魂が希薄になった時代。決してそう遠くない近未来を舞台に物語の幕が開く。 主人公は、続発するテロ犯罪を取り締まる政府直属の機関・公安9課の刑事バトー。バトーは生きた人形(サイボーグ)である。腕も脚も、その身体のすべてが造り物。残されているのはわずかな脳と、一人の女性、素子(もとこ)の記憶だけ。 ある日、少女型のロボットが暴走を起こし、所有者を惨殺する事件が発生。「人間のために作られたはずのロボットがなぜ、人間を襲ったのか」。さっそくバトーは、相棒のトグサと共に捜査に向かう。電脳ネットワークを駆使して、自分の「脳」を攻撃する“謎のハッカー”の妨害に苦しみながら、バトーは事件の真相に近づいていく。

An enigmatic actress may have a hidden agenda when she auditions for a part in a misogynistic writer's play.

友人同士であるゲイの男性フランシスとストレートの女性マリー。2人はあるホームパーティーで、外見に加えて社交的なふるまいも魅力的な青年ニコラと出会い、たちまち心を奪われる。ニコラはフランシスとマリーを新しい友人と思って3人で出かけたりするが、フランシスとマリーはそれぞれニコラに対する片思いをますます募らせていく。ある日、3人でドライブ旅行に出かけるが、マリーはフランシスに対する嫉妬心を爆発させる。

教会で働くケラーから殺人の懺悔を聞いた神父ローガン。だが、状況証拠から神父自身が犯人にされてしまう。聖職者の彼は懺悔の内容を語ることができず……。戒律に挑戦した異色のサスペンス。

妻に自殺された中年アメリカ人ポールは、パリの空きアパートの一室でジャンヌという若い女性と偶然出会う。あるきっかけで衝動的な感情に駆られたポールはジャンヌの体を求め、その後2人は何事もなかったかのように別れる。ジャンヌにはTVディレクターの恋人がいたが、アパートでの出来事が忘れられず再び部屋に戻るとそこにはポールが待っていた。2人は互いの名前も知らないまま逢瀬を重ね、セックスだけの関係を続けていく。

英国人科学者のスーザンは、ある日突然、嗅覚を失うという症例を示す患者と出会う。それは国内に限らず、ヨーロッパから世界中へと広がり、人々はパニックに陥る。そんなある日、彼女は自宅の向かいのレストランで働くシェフ、マイケルと出会うが、2人も翌朝には完全に嗅覚を失ってしまう。彼らはさらに味覚、聴覚を失うように。

Rome, AD 303. Emperor Diocletian demotes his favourite, Sebastian, from captain of the palace guard to the rank of common soldier and banishes him to a remote coastal outpost where his fellow soldiers, weakened by their desires, turn to homosexual activities to satisfy their needs. Sebastian becomes the target of lust for the officer Severus, but repeatedly rejects the man's advances. Castigated for his Christian faith, he is tortured, humiliated and ultimately killed.

The vicissitudes of three couples of newlyweds from the celebration of weddings to their respective honeymoons.

Lucy Harmon, an American teenager is arriving in the lush Tuscan countryside to be sculpted by a family friend who lives in a beautiful villa. Lucy visited there four years earlier and exchanged a kiss with an Italian boy with whom she hopes to become reacquainted.

天才建築家として国外で成功をおさめた女性セレーナは、故郷が恋しくなりイタリアに帰国する。しかし、イタリアにおける女性の就労状況は厳しく、仕方なくカフェでアルバイトして生計を立てることに。セレーナはカフェのオーナーであるバツイチ男性フランチェスコと心を通わせていくが、実は彼はゲイだった。やがて、ある集合住宅が再開発案を募集していることを知ったセレーナは、架空の男性上司をつくりあげて応募するが……。

「ラストエンペラー」「シェルタリング・スカイ」の巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督が重い病で車椅子生活を余儀なくされながらも、2003年の「ドリーマーズ」以来10年ぶりの復活を果たして撮り上げた青春ドラマ。周囲に馴染めない孤独な14歳の少年が腹違いの大人びた姉と自宅地下室で過ごす秘密の1週間を綴ったニッコロ・アンマニーティの同名小説を映画化。  周囲に馴染めず、独りが好きなちょっと変わり者の14歳、ロレンツォ。学校行事のスキー合宿に行くと両親を騙して向かった先は、自分の住むアパルトマンの地下室。彼はそこに食料を持ち込み、寝床や暖房も確保したその秘密の部屋で、好きな本と音楽に浸って一週間を過ごす計画だったのだ。ところがそこに、異母姉のオリヴィアが転がり込んでくる。美しく奔放な上、麻薬中毒でもあるオリヴィアの登場で、のんびり過ごすはずだったロレンツォの地下室生活は思いもよらぬ方向へと転がり始めるが…。

9歳の少女レベッカは海の近くの祖父の家に滞在するが、地元の少年トミーと出会って恋に落ちる。レベッカは母親の仕事で東京に引っ越すが、12年後、大人になったレベッカは亡くなった祖父の家に戻ってトミーと再会する。今の彼は環境活動家で、仲間とある施設に潜入して混乱を起こすという。だがレベッカと施設に向かう途中、交通事故でトミーは帰らぬ人に。レベッカはトミーのDNAを使って彼のクローン人間を身ごもる。

ベストセラー作家に近づく謎に満ちたエル<彼女>。 彼女は何者なのか? 狙いは何なのか? ふたりの女性の危ういほどスリリングな関係に、 ポランスキーが仕掛けた戦慄のミステリー フランスで今もっとも注目されている作家デルフィーヌ・ド・ヴィガンの小説「デルフィーヌの友情」を映像化したのは巨匠ロマン・ポランスキー。熟練の技巧を凝らして随所に意味ありげな描写を織り交ぜながら、ふたりのヒロインがたどる予測不能の運命をスリリングに映し出す。人間の孤独とアイデンティティーの揺らぎ、密室的なシチュエーションで膨れ上がる極限の不安、じわじわと曖昧になっていく現実とフィクションの境目。これらまさしくポランスキー的なサスペンスと倒錯が渦巻く映像世界は、ひとときもスクリーンから目が離せず、ラスト・シーンを見届けた後もしばし観客を幻惑する。

Two couples in their thirties, heated discussions on the essentials of life unfolding between Madrid and the neighbouring countryside.