森鴎外の同名小説を、八尋不二と依田義賢が共同で脚色し、溝口健二がメガホンをとった文芸作品。特に美術と撮影はレベルが高く、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した。美しいラストシーンは、ゴダールが「気狂いピエロ」において引用したことでも知られる。  平安時代末期、農民を救うため将軍にたてついた平正氏が左遷された。妻の玉木、娘の安寿と息子の厨子王は越後を旅している途中、人買いにだまされ離ればなれになってしまう。玉木は佐渡に、安寿と厨子王は丹後の山椒大夫に奴隷として売られた。きょうだいはそれから十年もの間、奴隷としての生活を続けるが、ついに意を決して逃げ出すことにする。しかし追っ手に迫られ、安寿は厨子王を逃すため池に身を投げるのだった。

インドの小さな村で新婚生活を送るラクシュミは、妻が高価な生理用ナプキンを買えずに苦労していることを知り、自ら清潔で安価なナプキン作りに乗り出す。しかし、男性が生理について語ること自体がはばかられるインドで、ナプキンの研究に勤しむラクシュミは、村人から奇異な目で見られ、ついには村を追い出されてしまう。それでも情熱を失わず、ナプキン作りに邁進するラクシュミだったが…。