高校時代に一目惚れをして結婚した、ラファエルとオリヴィア。結婚10年目を迎え、小説家を目指していたラファエルは、いまや子どもたちに人気のベストセラーSF作家に。一方、小さなピアノ教室を開きながらピアニストの頂点を目指すオリヴィアは、仕事のことばかり考えているラファエルとのすれ違いの生活に孤独を感じていた。そんなある日、我慢の限界に達したオリヴィアがラファエルに想いをぶつけると大喧嘩に…。翌日、人気作家の特別授業として中学校を訪れたラファエルは、出会う人々の様子がおかしい ことに戸惑いを覚える。そこでの自分は、卓球に熱を上げるしがない中学校の教師で、オリヴィアは人気ピアニストとして活躍する、立場が逆転した<もう一つの世界>だった。そして、その世界のオリヴィアはラファエルを知らなかった…。自分にとってオリヴィアがすべてだと気付かされたラファエル。もう一度オリヴィアと愛し合うことで元の世界に戻 れると信じ、あの手この手を使って接触を試みる。二人は少しずつ心を通わせ合うものの、オリヴィアは公私共に長年連れ添ったパートナーと婚約することに。そこでラファエ ルは、ある重大なことに気づき、人生最大の決断を下す。それは、“恋”しか知らなかったラファエルがオリヴィアの幸せを一番に願う“愛”の決断だった…。

緊迫する東西情勢の中、キューバにソ連製のミサイルが運び込まれるという情報がもたらされた。米仏の情報機関は、これを探るため局員を現地に派遣する。そして、浮かび上がったトパーズという謎の組織を追って、局員はその正体を探るが…。キューバ危機を背景にしたスパイ・スリラー。

1940年夏、ソ連に併合されかけている小国リトアニアの各国大使館や領事館は、相次いで閉鎖されつつあった。同時にナチスの侵略も迫っていた。そんな時期に、命の危険を感じた大量のユダヤ難民が、安全な第三国へ逃れようと日本領事館に殺到する。ビザを発行してくれるのはもはや日本領事館しか残っていないのだ。領事代理の杉原千畝は本国外務省にビザ発行の許可を求める。本省からは「発給は不許可」との返信電報が届くが…。