やくざと元締めが対立するさびれた宿場町。そこへ一人の浪人者がやってくる。立ち寄った居酒屋のあるじに、早くこの町を出ていった方がいいと言われるが、その男は自分を用心棒として売り込み始める。やがて男をめぐって、二つの勢力は対立を深めていく……。ハメットの『血の収穫』を翻案、時代劇に西部劇の要素を取り込んだ娯楽活劇。

凄腕の浪人が、上役の不正を暴こうと立ち上がった9人の若侍に助太刀する痛快アクション時代劇。薄暗い社殿で密議をこらしていた9人の若侍。上役を告発するも逆に窮地に陥っていた。それを図らずも聞いていた浪人は、権謀に疎い彼らに同情し一肌脱ぐことに……。

物語始めの舞台は、甲州と江戸。御嶽山奉納の剣術試合で、宇津木文之丞との勝負をゆずらなかった机竜之助は、文之丞の妻だったお浜と夫婦になる。大菩薩峠で、机竜之助に斬られた老人の孫のお松は、七兵衛の世話で厄介になった生け花の師匠のところから、神尾主膳の屋敷へ奉公にあがる。竜之助が組する江戸の浪士組(新徴組の前身)では、近藤勇と芹沢鴨が頭角を顕す。舞台の後半は、清河八郎の暗殺以後、新徴組が新撰組へ、江戸から京都へ移っていく。大菩薩峠と御嶽山奉納試合からの因縁、近藤勇や芹沢鴨の新徴組に身を置いた流れに、文久3年、机竜之助の音無しの剣術は、その在り方が求められていく。

勝新を敬愛する高校3年生のハダシ。キラキラ恋愛映画ばかりの映画部では、撮りたい時代劇を作れずにくすぶっていた。そんなある日、彼女の前に現れたのは武士役にぴったりな凛太郎。すぐさま個性豊かな仲間を集め出したハダシは、文化祭でのゲリラ上映を目指すことに。青春全てをかけた映画作りの中で、ハダシは凛太郎へほのかな恋心を抱き始めるが、彼には未来からやってきたタイムトラベラーだという秘密があった――。

天正19年。かつては織田信長に茶頭として仕え、彼亡き後は豊臣秀吉の庇護の下、茶の湯を芸術の域にまで高めて“茶聖”とまでうたわれた千利休が、秀吉によって切腹を命じられ、人生最後の日を迎えようとしていた。妻の宗恩から、自分のほかにずっと想う人がいたのではないかと問われ、利休の脳裏にかつての遠い記憶がよみがえる。それは、若き日の彼が出会った、高麗出身の美しい女性との秘められたはかない恋の思い出だった。

黒澤明監督が、ゴーリキイの同名戯曲に材をとり、脚本の小国英雄とともに舞台を江戸の場末の棟割り長屋に移し社会の底辺に生きる人々の人生模様をユーモアも忘れずに描いた辛口群像劇。物語のほとんどが長屋の中で展開されていながら観客を飽きさせない脚本に感服。

市は瞽女(ごぜ)と呼ばれる盲目の女芸人。かつては他の仲間たちと一緒に旅をしていたが、ある時男に襲われた市は、男と関係してはならないという掟に従い一座を追われ、“離れ瞽女”となった。以来、三味線を手にたった一人で旅を続ける市。ある日、道中で市がチンピラに絡まれていると、一人の侍、十馬が止めに入る。しかし、十馬はなぜか刀を抜くことが出来ず、モタモタしている彼をよそに、市は仕込み杖から抜いた剣でチンピラたちを容赦なく切り捨てる。十馬は剣の腕はありがら幼いときのトラウマが原因で刀を抜けず、一方の市は居合いの手練だった。やがて2人は辿り着いた宿場町で、町を仕切る白河組2代目虎二と無法者を束ねて町を荒らす万鬼の激しい抗争に巻き込まれていく。そんな中、互いへの秘めたる想いを募らせていく市と十馬だったが…。