伝説的ヒッチコック・スリラーにして全てのサイコ・サスペンスのルーツ。会社の金を横領した女が立ち寄ったベイツ・モーテル。そこには管理人の青年ノーマンと離れの一軒屋に住む年老いた“母”がいた。原作はロバート・ブロック。

カメラマンのジェフは足を骨折し、ニューヨークはグリニッチ・ヴィレッジのアパートで療養中。身動きの取れない彼にとって退屈しのぎの楽しみは、窓から見える中庭と向いのアパートの住人たちを眺める事だけ。だが、その中で、セールスマンの夫と激しい口論をしていた病床の妻の姿が見えなくなった事に気づいた。セールスマンの様子を窺う内に、ジェフはその男が女房を殺したのではないかと推測、恋人のリザと看護人ステラの協力を得て調査を始めるのだが……。

冬の間は豪雪で閉鎖されるホテルの管理人職を得た小説家志望のジャック・トランスは、妻のウェンディーと心霊能力のある息子ダニーとともにホテルへやってくる。そのホテルでは、かつて精神に異常をきたした管理人が家族を惨殺するという事件が起きており、当初は何も気にしていなかったジャックも、次第に邪悪な意思に飲みこまれていく。

医学の研究に生涯を捧げ、その長年の功績を認められ名誉学位を受けることになった老教授イサク。その授与式は栄光に満ちた日になるはずだったが、前夜に自身の死を暗示する悪夢を見たためか、彼の心は晴れない。イサクは授与式当日に当初の予定を変更して、現在の住まいであるストックホルムから式の行われるルンドまで車で向かおうとする。そんな彼に、義理の娘であるマリアンヌも同行を願い出る。 半日程度の小旅行はイサクにとって、これまでの自分の人生を顧みるまたとない機会となった。青年時代に婚約者を弟に奪われたこと、妻がイサクの無関心に耐えられず不貞を働いたことなどを思い出し煩悶するイサク。そしてマリアンヌに、イサクの息子エヴァルドと彼女の間に子供が居ないのは、イサクを見て育ったエヴァルドが家庭というものに絶望しているからだと告げられる。研究者としての輝かしい名声とは裏腹に、イサクの人生は空虚なものだった。 また、イサクはルンドへ向かう途中様々な人物に出会う。奔放なヒッチハイカーの少女とその二人のボーイフレンド、不毛な夫婦喧嘩を繰り返す男女、引越していったイサクを今でも慕うガソリンスタンドの店主とその妻、そしてイサクの老いた母親。彼らとの出会いと過去への後悔が、徐々にイサクを変えていく。 無事に授与式を終えたイサクはその夜、エヴァルドと家族のことについて誠実に話し合う。寝室の外では昼間に出会ったヒッチハイカーたちが、イサクの栄誉を心から祝福していた。満ち足りた気持ちで眠りにつくイサク。彼が見る夢は前夜の悪夢と違い、不思議な充足感を伴うものだった。

40歳を過ぎた広告マンのレスター・バーナムと上昇志向たっぷりの妻キャロリン。彼らの家庭生活に潜む歪んだ真実が徐々に暴かれていく。妻は夫を憎み、娘のジェーンは父親を軽蔑している。そして会社の上司はレスターにリストラによる解雇を告げる。そんな毎日に嫌気が差したレスターは、人生の方向転換を図る。しかし、自由と幸せを求めるレスターを待ち受けていたのは、あまりにも高価な代償だった。

1988年、アメリカ・マサチューセッツ州ミドルセックス。ある晩、高校生ドニー・ダーコの前に銀色のウサギが現われる。ドニーはウサギに導かれるようにフラフラと家を出ていく。そして、ウサギから世界の終わりを告げられた。あと28日6時間42分12秒。翌朝、ドニーはゴルフ場で目を覚ます。腕には「28.06.42.12」の文字。帰宅してみるとそこには、ジェット機のエンジンが落下していてドニーの部屋を直撃していた。何がなんだか分からないながら九死に一生を得たドニー。その日から彼の周囲では、不可解な出来事が次々と起こり始めた。

アイオワ州マディソン群の片田舎。農場主の妻フランチェスカは、夫と二人の子供に囲まれ平凡な主婦として穏やかな毎日を送っていた。そんなある日、一人で家の留守をしていた彼女の所へある男が道を尋ねてくる。男の名はロバート・キンケイド。旅のカメラマンで、この近くの屋根のある橋ローズマン・ブリッジを撮影に来たが道に迷ったという。橋までの道案内に車に同乗したフランチェスカ。それは二人にとって、永遠に心に残る4日間の始まりであった……。

中年男アイザックはTVライターとしては売れっ子だったが、シリアスな小説に転向しようと産みの苦しみの最中。彼は粋なレストランで友達とダベっている。共にテーブルを囲むのは大学教授のエールと妻のエミリー。そして現在、彼が同棲中の17歳の高校生トレーシー。どちらかと言えば彼女の方が夢中で、これ以上深みにハマるのを彼は恐れている。そしてある日、彼はMOMAを見物中のエールが連れていた浮気相手のメリーに恋をする…。

カンヌ映画祭グランプリに輝いたコッポラの意欲作。プロの盗聴屋が次々と他人のプライバシーを侵し、盗聴を繰り返す作業を克明に描いていく。しかし、やがて“自分も盗聴されている”という脅迫観念に陥った主人公は、孤独と狂気の日々に没入していく・・・。大都会に住む現代人の不安感を象徴的に描いた作品。 サンフランシスコで盗聴を職業としているハリーは、依頼を受け、公園を歩くカップルの会話を盗聴する。ハリーは盗聴した会話に「殺される」ということばを聞き取り、やがて事件に巻き込まれていく…。

19世紀の半ば、スコットランドからニュージーランドへ写真結婚で嫁ぐエイダ。旅のお供は娘のフロラと一台のピアノ。エイダは6歳の時から口がきけず、ピアノが彼女の言葉だった。夫のスチュアートはそのピアノを重すぎると浜辺に置き去りにし、原住民に同化している男ベインズの土地と交換してしまう。ベインズはエイダに“ピアノ・レッスン”をしてくれればピアノを返すというが……。

とある夏、家族と共に避暑地にやってきた17才の少女ベイビーはそこで、ダンス・インストラクターのジョニーと出会い、愛し合うようになる。上流階級のお嬢様はやがて大人の女へと成長する。

結婚後14年が過ぎ、夫婦関係が破綻しかけたリチャード とマリアは、ある日決定的な諍いを起こし、互いに別々の夜を過ごす。リチャードは美しい高級娼婦ジェニー と、マリアは友人たちと行ったディスコで出会った青年、チェット と。翌朝マリアは衝動的に自殺を図り、チェットに救われるが、夫が帰宅し、チェットは逃げ出した。家には2人だけが残され、深い沈黙が夫婦を包みこんでいくのだった。

D.ホフマンとR.デニーロという2人の個性派俳優が挑んだ政治風刺喜劇。執務室で少女にイタズラをした過去が暴かれ次の選挙での再任が危うくなった大統領がとった手段とは……。

世界中の希少本を探す、書籍の探偵コルソ。彼はある富豪の依頼を受け、世界に3冊しかないという伝説の悪魔の祈祷書を探していた。ニューヨークからスペイン、ポルトガルと祈祷書を追って旅するコルソ。だがそんな彼の周囲では、不可思議な殺人が続発してゆく。<禁断の書と言われる“悪魔の書”を手にした書物ブローカーに起こる迷宮的恐怖を描く。ロマン・ポランスキー監督作。>

恋人に振られ傷心のヨーンがある日仕事から帰宅すると、隣室の美人から家具を動かしてほしいと声を掛けられる。彼女は姉妹で住んでいて、初対面にもかかわらず彼の日常を把握しているかのごとく謎めいた発言を繰り返し、姉アンネの留守中、暴行された過去を持つ妹キムはヨーンを誘惑。姉妹の不可解な言動に振り回され、ヨーンの日常はゆがみ始めていく。