アニメ「メイドインアビス」の総集編の前編。 世界に唯一残された秘境「アビス」の近くにある街、オースで生活しているリコは、母のような探窟家になることを夢見ていた。ある日、アビスを探窟していたリコは、巨大な蛇状の生物・ベニクチナワに襲われる。成すすべなしと思われた瞬間、周囲が閃光に包まれ轟音が鳴り響く。

ガッツが去ったことで自暴自棄となったグリフィスが反逆の罪で囚われ、鷹の団も逆賊として追われる身となって1年。崩壊していく団を率いるキャスカの前に、再びガッツが現われる。キャスカは怒りをぶつけながらも、その言葉とは裏腹にガッツと身も心も結ばれていく。その後2人は、わずかに残る仲間と共にグリフィス救出へと向かう。しかし幽閉されていたグリフィスは、凄惨な拷問の末に、見るも無惨な姿と成り果てていた。そんな全てを失い、絶望に打ち震えるグリフィスの前に、失われたはずのベヘリット“覇王の卵”が現われるが…。

内容は孤児院で育てられた子ども達が過酷な運命に抗っていく物語である。白井の初連載作品で、出水にとっては6度目(『ジャンプ』では初)の連載作品。『ジャンプ』では珍しい少女主人公によるダーク・ファンタジー、サスペンス作品でもある。 作風としては、少年漫画らしく「友情、努力、勝利の物語」、「逆境モノ」であることにこだわり、白井の初期構想で強かった「エロ・グロ・ナンセンス的なエグみ」は抑えられている。また宮崎駿およびジブリ作品の影響を特に受けているのこと。絵柄は出水が『ジャンプ』に寄せようとしたが上手くいかなかったため、連載初期には出水が普段イラスト投稿サイトに上げるようなタッチで描かれていた。しかし『ハイキュー!!』や『鬼滅の刃』など、同時期に連載されていた作品の影響で徐々に「ジャンプナイズ(ジャンプ化)」されていったという。 白井は、ジャンプのセオリーである「“友情、努力、勝利”に繋がっていくような話を、ちょっと違う角度から」描いているとしている[8]。担当編集者は、一見『ジャンプ』らしくない作風だが本質的には逆境や試練を努力・友情で乗り越え勝利をつかもうとする「『ジャンプ』らしい」活劇であるとしている。

大きな野望を抱く傭兵集団“鷹の団”のカリスマ、グリフィスは、一匹狼として生きてきた剣士ガッツを仲間に引き入れることに成功し、数々の激闘で勝利を収め、ミッドランド王国の中で存在感を高めていく。そんな中、敵国チューダー帝国との最終決戦を迎えていたミッドランドでは、難攻不落のドルドレイ要塞攻略に手こずり、苦戦を強いられていた。するとグリフィスは国王に、鷹の団だけで出陣するという作戦を進言し、無謀とも思える戦いに踏み込んでいくのだが…。

日常のささいなことでも不安になる怖がりの男ボーはある日、さっきまで電話で話してた母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。これは現実か? それとも妄想、悪夢なのか? 次々に奇妙で予想外の出来事が起こる里帰りの道のりは、いつしかボーと世界を徹底的にのみこむ壮大な物語へと変貌していく。