浪人・柳田格之進(草なぎ剛)は、身に覚えのない罪を着せられ、妻も喪った上、故郷の彦根藩を追われて娘の絹(清原果耶)とふたり、江戸の貧乏長屋暮らしを送っていた。そんな暮らしにもかかわらず、かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けていた。だがある日、旧知の藩士によって悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進と絹は、復讐を決意。そして絹は、仇討ち決行のため、自らが犠牲になる道を選び……。父と娘の誇りをかけた闘いが始まる!

戦国時代にあって、お茶の道を追究し続けた千利休。そんな美と知の体現者・利休と、絶大な権力を持ちながらも粗野で利休とは対極にある秀吉の確執を描く。映画に登場する生花はすべて、自身も華道・草月流の家元である勅使河原監督の手による。利休を演じた三國連太郎と秀吉を演じた山崎努の対照的な演技のぶつかり合いもみどころ。また、同時期に公開された「千利休 本覺坊遺文」との“利休対決”も話題となった。

人気時代劇シリーズの第5作。座頭市は、旅の途中、道で倒れているひとりの瀕死の老人から、お美津という女性の身を救ってほしいと頼まれる。日本橋の大店のお嬢様である彼女は、とある若殿から見初められて屋敷に奉公することになり、殿に手籠めにされそうになるのを必死で抵抗して逃げ出してきたのだった。かくして市は、彼女と道中を共にすることになるが、市の命を付け狙う浪人者の岬の甚五郎や情婦のお久が、お美津にも目をつけるようになる。

重いムードは薄まり、コミカルさが加わったシリーズ第6作。盲目の渡世人・市は3年前、心ならずも自分が命を奪った男性の墓参りのため、赤城山に近い小さな村へ。そこでは農民たちの血と涙の結晶である千両箱が何者かに盗まれたばかりで、そこで市は犯人として疑われてしまう。市は自分の身の潔白を証明すべく、千両箱と事件の黒幕を見つけ出そうとするが……。

牢を出たばかりの座頭市は、漁師・儀肋の家にやっかいになった。その小さな漁村では五右衛門一家が賭場を開き、市もつきに任せて遊んでいた。跡目を継いだばかりの若き五右衛門は宿場一体を仕切るために八州取締役に取り入ろうとしていた。大勝ちした市を撫然とした五右衛門一家が取り囲むが、女親分のおはんが取りなした。帰り道で市は刺客に襲われるが、得意な居合い斬りで片づけた。市は旅先で絵を描く浪人と知り合い、色を教えてもらった。その間も五右衛門一家の刺客が襲いかかるが、市の居合い斬りの前には歯が立たない。八州取締役は赤兵衛に五右衛門と対抗するために銃を買うことを勧めた。しかし、赤兵衛は五右衛門と八州が通じていることを知っており、市を用心棒に顧った。一方五右衛門は浪人を新しい用心棒に顧っていた。赤兵衛の宿場で八州は薄幸の少女おうめを手込めにしようとするが、市に斬られた。浪人は湯治場で一度市を見逃すが、五右衛門一家はついに赤兵衛一家を襲う。壮絶な斬り合いの末、赤兵衛は五右衛門の前に倒れた。その時坂の上から早桶が転ってきて、中から現われたのは八州の首を持った市だった。そして市は数十人の五右衛門一家の子分を絶滅させ、最後に五右衛門と浪人も倒すのだった。

天文十七年(1548年)。時代は戦国、下克上の世。越後の長尾景虎、後の上杉謙信は、兄に天誅を加えるなど冷徹な闘いぶりをみせていた。一方、甲斐の国では大きな野望を胸に武田晴信、後の武田信玄が勢力を拡大していた。戦乱の中で非情に徹することができない景虎は苦悩の末に城を捨て修行僧になる。が、晴信の無礼に遭遇した景虎は武田陣打倒を決意するのだった。

今より千年前、紫式部は宮中の藤原道長からの頼みで道長の娘・彰子の教育係として京の都にやって来る。実は式部には、どうしても京の都で完成させなければいけない一つの物語があったのだ。『源氏物語』と題されたその物語の主人公は桐壺帝の子・光源氏。 容姿端麗にして武芸に秀でている源氏は何不自由のない生活を送っていたが、継母である藤壺中宮への禁断の恋心に苦悩もしていた―。式部はまだ清純な彰子に物語を説いてゆくのだが、ついに物語は源氏が姫君たちとの逢瀬の果てに、藤壺と体を重ねてしまうことになる…。