都会に出たものの馴染めないでいたいち子(橋本愛)は、故郷である東北地方の小さな集落・小森に戻ってくる。山に囲まれた小森の周辺にはスーパーやコンビニはないため、畑で農作物を作ったり、野山で季節のものを採ってきたりして、自給自足に近い生活をしなければならない。山の恵みを使って、夏にはグミジャムや岩魚の塩焼き、秋はくるみごはんや栗の渋皮煮などを作るいち子。もちろん自然には厳しさもある。季節の移ろいを感じ、ふと立ち止まって自分自身と向き合いながら、いち子はおいしいものを食べて次の一歩を踏み出す勇気を得ていく。

1993年、小さな出版社に勤める妻・翔子と生活力に乏しい夫・カナオは第一子の誕生を控え幸せな日々を送っていた。カナオは日本画家を目指す傍ら法廷画家の職を得る。その後第一子の死去という悲劇に見舞われた夫婦のうち、翔子は次第にうつに陥っていく。そんな翔子を静かに見守るカナオは、法廷画家という職について法廷に通ううちに東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件、地下鉄サリン事件といったさまざまな事件の公判を傍聴する。時代の変化の中で二人の夫婦は夫婦の絆を深めていく。

大正7年に東北の農村で生まれた松木とめは、23歳で製糸工場の女工して働き始めた。しかし地主の本田家へ嫁入りさせられ、出征する俊三に抱かれ妊娠する。娘の信子を出産したとめは本田家を出て製糸工場に戻り係長と関係を結ぶようになるが、会社をクビになってしまう。とめは単身上京し、売春を始める。コールガール組織を作るまでになったとめは、故郷から父親と娘を呼び寄せた。

成瀬巳喜男監督が川端康成の同名小説を映画化した原節子の代表作の一つ。鎌倉を舞台に、老境に入った男が、同居する若く美しい息子の嫁に抱く複雑な心模様を丁寧に描く。 鎌倉で息子夫婦と暮らす尾形信吾は、老いを感じ、寂しさを感じる日々を送っていた。息子・修一の浮気に耐える嫁の菊子を不びんに思う信吾は、いつしか菊子にひかれるようになるが、やがて菊子の妊娠がわかり…。

映画ファン待望の2大スター対決が実現し、シリーズ最大のヒットを記録した第20作。蓮華沢の里を3年ぶりに訪れた盲目の渡世人、座頭市。だが村の平和は、小仏の政五郎と生糸問屋の烏帽子屋弥助という2大勢力の対立によってすっかり脅かされていた。市が里に戻ってきたと知った政五郎は、早速、凄腕の用心棒・佐々大作に市の暗殺を命じ、大作もまた100両の金に釣られてその仕事を請け負う。かくして両者はひとたびあいまみえるが、お互いの実力を見てとった2人は、再度の勝負を約束して一旦は別れるが...。

数日間行方不明だった夫の真治がようやく家に戻って来たものの、それまでとはどこか違う彼の態度や言動に、妻の鳴海は戸惑いといらだちを募らせることに。けれども、そんな彼女にはお構いなしに、真治は毎日ふらふらと散歩に出掛けては、何やら不可思議な行動を繰り返す。そのころ町では、とある一家が惨殺されるなど、奇妙な出来事が次々と発生。ジャーナリストの桜井は、何かがおかしいと、独自の調査を開始する。