浪人・柳田格之進(草なぎ剛)は、身に覚えのない罪を着せられ、妻も喪った上、故郷の彦根藩を追われて娘の絹(清原果耶)とふたり、江戸の貧乏長屋暮らしを送っていた。そんな暮らしにもかかわらず、かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けていた。だがある日、旧知の藩士によって悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進と絹は、復讐を決意。そして絹は、仇討ち決行のため、自らが犠牲になる道を選び……。父と娘の誇りをかけた闘いが始まる!
戦国時代にあって、お茶の道を追究し続けた千利休。そんな美と知の体現者・利休と、絶大な権力を持ちながらも粗野で利休とは対極にある秀吉の確執を描く。映画に登場する生花はすべて、自身も華道・草月流の家元である勅使河原監督の手による。利休を演じた三國連太郎と秀吉を演じた山崎努の対照的な演技のぶつかり合いもみどころ。また、同時期に公開された「千利休 本覺坊遺文」との“利休対決”も話題となった。
映画ファン待望の2大スター対決が実現し、シリーズ最大のヒットを記録した第20作。蓮華沢の里を3年ぶりに訪れた盲目の渡世人、座頭市。だが村の平和は、小仏の政五郎と生糸問屋の烏帽子屋弥助という2大勢力の対立によってすっかり脅かされていた。市が里に戻ってきたと知った政五郎は、早速、凄腕の用心棒・佐々大作に市の暗殺を命じ、大作もまた100両の金に釣られてその仕事を請け負う。かくして両者はひとたびあいまみえるが、お互いの実力を見てとった2人は、再度の勝負を約束して一旦は別れるが...。
幕府献上の五万両強奪事件を追って、ひばりの御存知阿部川町お七と痛快呑んべ浪人が大活躍。絢爛の七変化に唄と笑いとスリルを織り込んで繰り展げる娯楽興趣篇。 唄も踊りも捕物も日本一と噂の阿部川町のお七が、吉例舞踏祭りの舞台で「鷺娘」を踊って楽屋に帰ってきたところで、料亭の用心棒に身をやつした佐々木兵馬が酔った姿で訪れた。お七はその姿を案じて兵馬の帰参を兄の伊予守に願ったところ逆に意見され、翌日藤田屋に兵馬を尋ねたら、三鈴という娘が兵馬の世話になっていることを知る。その夜、見回りに出たお七は女スリお花の殺しの現場に出くわし、死体のそばで太田藩の刻印が彫られた小判を拾う。一方、兵馬も藤田屋を探る覆面の侍を不審に思い切り結んだら、三鈴はその侍は大田藩江戸屋敷詰の佐久間健之進だと告げる。三鈴は大田藩の御用金宰領役の奥田十兵衛の娘で、先日起きた大田藩御用金一万両の強奪に対する責を追って捕らわれた父の罪を晴らすべく、唯一の手がかりである印籠を手に、一味を探っていたのだ。そして、十兵衛の切腹は四日後の朝に行われるという。お七はお花の恋人であった稲妻の三次を見つけて小判の出所を聞きだそうとすると、三次はお花の相棒である女スリお島のところへ案内する。だがそこにはお島の姿はなく、猿若座の座付き役者中村新之丞の手ぬぐいがおかれているだけであった。そして、神田祭の祭礼の留守中に、三鈴は黒覆面の一団にさらわれてしまった。一団が向かった荒れ寺に忍び込んだお七は、仕掛けられた落とし穴に落ちてしまい、そこに「ながさき」の血文字と櫓巴の絵を書き残して死んでいる三次を見つける…。
元老中・水野忠邦と組んだ大奥・姉小路一派は、お家乗っ取りのため、生後すぐ捨てられたという、徳川家定の双子の兄弟を捜していた。一方、それを知った家定の母は、大奥掃除人の四郎に問題の子の発見と始末を命じる。そんな折、老浮世絵師・葛飾北斎が謎の死を遂げ、犯人を捜す主水は、捜査の中で北斎が最後に描いた似顔絵とそっくりな少女・捨蔵を発見する。実は、彼女こそが大奥の二派が血眼で捜す将軍家の落とし種だった。