山間の小さな田舎町。男の子たちの髪形は、“バーバー吉野”のおばちゃん(もたいまさこ)が切る“吉野ガリ”に統一するのが慣わしだった。それを疑問に思う者は誰一人いなかったが、東京から茶髪の転校生がやって来たことで事態は一変する。
サチエ(小林聡美)はフィンランドの都市、ヘルシンキで「かもめ食堂」という名の日本食の小さな店を営んでいる。ある日食堂にやってきた日本かぶれの青年に「ガッチャマンの歌の歌詞」を質問されるが、思い出せず悶々としていると、町の書店で背の高い日本人女性ミドリ(片桐はいり)を見かける。もしや、と思い試しに「ガッチャマンの歌詞を教えて下さい!」と話しかけると、見事に全歌詞を書き上げる。旅をしようと世界地図の前で目をつぶり、指した所がフィンランドだった…というミドリに「何かを感じた」サチエは、彼女を家に招き入れ、やがて食堂で働いてもらうことに。 一方、マサコ(もたいまさこ)は両親の介護という人生の大役を務め終え、息抜きにフィンランドにたどり着いたものの、手違いで荷物が紛失してしまう。航空会社が荷物を探す間にかもめ食堂へとたどりつく。 生い立ちも性格も年齢も違う3人の女性が、奇妙な巡り合わせでかもめ食堂に集まった…。
海辺の小さな町にやって来たタエコ(小林聡美)は、素朴で小さな宿・ハマダに到着。宿の主人・ユージ(光石研)とその愛犬、さらには不敵なほほ笑みをたたえた女性・サクラ(もたいまさこ)らに出会う。何日かを過ごしたタエコは、マイペースに明け暮れるハマダでの毎日に違和感を覚え、別の宿へ移る決心をするが……。