舞台俳優であり、演出家の家福悠介。彼は、脚本家の妻・音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻はある秘密を残したまま突然この世からいなくなってしまう――。2年後、演劇祭で演出を任されることになった家福は、愛車のサーブで広島へと向かう。そこで出会ったのは、寡黙な専属ドライバーみさきだった。喪失感を抱えたまま生きる家福は、みさきと過ごすなか、それまで目を背けていたあることに気づかされていく…

中学校最後の試合中に、自分の意思に反して矢を早く放ってしまう「早気」になった鳴宮湊は、弓道をやめることを決意。しかし風舞高校に進学後、コーチの滝川雅貴と運命的な出会いを果たし、弓道部に入部する。雅貴はコーチを務めながらも、自身の師匠に対する憎しみの感情をぬぐえずにいた。一方、湊の親友の竹早静弥は、湊にはもう自分は不要な存在だと思い始める。