「欲望の翼」「ブエノスアイレス」のウォン・カーウァイ監督がトニー・レオンとマギー・チャンを主演に迎え、それぞれ家庭を持つ男女の不倫の愛を描いた恋愛ドラマ。1962年、香港。新聞編集者の男性チャウと商社で秘書として働く女性チャンは、同じ日に同じアパートに引っ越してきて隣人になる。やがて2人は互いのパートナーが不倫関係にあることに気づき、時間を共有するように。戸惑いながらも、強く惹かれ合っていくチャウとチャンだったが……。設定の一部や世界観は「欲望の翼」から引き継がれており、さらに2004年製作の「2046」へとつながっていく。第53回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞とフランス映画高等技術委員会賞を受賞。日本では2001年に劇場公開。18年2月、カーウァイ監督の「欲望の翼」デジタルリマスター版の公開にあわせて、Bunkamuraル・シネマで特別上映。2022年には4Kレストア版が「WKW4K ウォン・カーウァイ4K」(22年8月19日~シネマート新宿、グランドシネマサンシャイン、シネマシティほか)で上映。

A・タルコフスキーの作品は様々な映像の断片がコラージュされたようなものばかりである。この「鏡」もまたそうであり、彼の自伝的要素を持つというが、解るような解らないような……。でもその数々の映像はどれもこれもかっこ良く、戦争の記録フィルムらしきものも出てくる。物語などの存在は忘れてただひたすら映像の中で泳ぐような感覚で、なんとも美しい一本だ。

 アメリカの軍事コンピュータが、誤ってソ連に対する核攻撃指令を発してしまう。命令を受けた爆撃機は直ちにモスクワへ向けて発進、帰還可能ポイント=フェイル・セイフを超えてしまう。ソ連側の迎撃部隊も、爆撃機を撃墜することができず、ついに全ての手段は失われる……。

 「ブレイド2」「ヘルボーイ」のギレルモ・デル・トロ監督が「デビルズ・バックボーン」に続いて再びスペイン内戦を背景に描く哀切のダーク・ファンタジー。再婚した母に連れられ、山中でレジスタンス掃討の指揮をとる冷酷な義父のもとへとやって来た空想好きの少女は、やがて残酷な現実世界から逃避し森の中の不思議な迷宮へと迷い込んでいくが…。イマジネーションあふれるヴィジュアルと深いテーマ性が高く評価され、いわゆるジャンル映画でありながら数々の映画賞を席巻する活躍で大きな注目を集めた話題作。  1944年のスペイン。内戦終結後もフランコ政権の圧政に反発する人々がゲリラ闘争を繰り広げる山間部。内戦で父を亡くした少女オフェリアは、臨月の母カルメンと共にこの山奥へとやって来る。この地でゲリラの鎮圧にあたるビダル将軍と母が再婚したのだった。冷酷で残忍な義父に恐怖と憎しみを募らせるオフェリア。その夜、彼女は昆虫の姿をした不思議な妖精に導かれ、謎めいた迷宮へと足を踏み入れる。そこでオフェリアを出迎えたパン<牧神>は、彼女が地底の魔法の国のプリンセスの生まれ変わりで、満月の夜までに3つの試練を乗り越えれば、魔法の国に帰ることが出来ると告げる。オフェリアはその言葉を信じて、与えられた3つの試練に立ち向かう決意を固めるのだったが…。

地球という星の、ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキという5つの都市で、5人のタクシー・ドライバーが乗客を乗せた。同じ夜にそれぞれに繰り広げられる5つの物語。本作はジャームッシュの作品に共通して見られる奇妙な可笑しさ、卓越したセンスが冴える会話に加え、背景に広がる空しさに満ちた荒涼感は健在であり、その独自の雰囲気で好き嫌いがハッキリと二分される彼の作品にしては割りと門戸が広く、様々な人が楽しめる作品に仕上がっている。特に、ニューヨークが舞台の話と、ロベルト・ベニーニ主演によるパリの話がお勧め。

ロンドンの劇場で劇作家のジェームズ・バリは新作の『リトル・メアリー』の初日を迎えていた。しかし、観客の反応は芳しくなく、翌日の新聞でも、酷評されてしまう。失意の中で日課の散歩に出かけるジェームズ・バリは公園で父親を亡くしたショックから夢や希望を持てなくなっていた少年ピーターとその家族に出会う。ジェームズは、兄を亡くして早く大人になろうとした少年時代の自分をピーターに重ね、励ましていく。やがて彼らとの交流から着想を得たジェームズは、新しい劇に取りかかる。

『ブレイド2』や超大作『ヘルボーイ』の成功でハリウッドでも注目を集めるメキシコの異才、ギレルモ・デル・トロ監督がスペインに招かれて撮ったホラー映画。激情型の男を演じたスペインのビッグスター、『オープン・ユア・アイズ』のエドゥアルド・ノリエガや、新星フェルナンド・ティエルブの熱演も見ものだ。ヨーロッパの血塗られた歴史と風土に培われた、怨念のすさまじさが霊を生息させ、さらに恐怖の結末を招く。

心の底から愛した女性と結ばれなかったチャン(トニー・レオン)は、「2046」というタイトルの小説を書き始める。それは“失われた愛”を取り戻そうと“2046”という場所を目指してミステリートレインに乗り込んだ男女を描いた小説だった。

天才作家トルーマン・カポーティの代表作、『冷血』の誕生秘話を描き出した伝記ドラマ。全米が震撼した一家惨殺事件を小説化しようと犯人であるペリーへの取材を進めるうち、彼の心とシンクロしていく。

かつてベストセラーで名を成した伝記作家が転落した挙句、有名人の手紙を捏造してコレクターに高値で売る詐欺師となり……。リー・イスラエルの自伝をメリッサ・マッカーシー主演で映画化したクライム・ストーリー。