『魔人ドラキュラ』でもベラ・ルゴシと組んだトッド・ブラウニング監督が、サーカスを舞台に裏切りと報復の世界を描いた1932年のホラーである。オルガ・バクラノヴァ演じる邪心のある空中ブランコ乗りの女性が、財産を目当てにサーカスの見世物である小人と結婚する。だがそれが、同じように「変わった」姿をしたサーカスの仲間たちに知られ、復讐される。
第1次大戦がはじまってまもない、ドイツのある町。群衆の歓声に送られて、戦場へ向かう大部隊が進軍してゆく。学校の教室では、老教師が生徒に愛国心を説いていた。情熱に駆り立てられた若者たちは、ただちに出征を志願するが、前線は飢えと死の恐怖だけの毎日だった。
第二次大戦下、スイス国境近くにあるドイツ軍の第17捕虜収容所。米空軍の軍曹ばかりが集められた第4キャンプでは、地下通路を掘る脱走計画が極秘裏に着々と進行していた。そしてクリスマス直前のある夜、ついに2人の捕虜が脱走を試みる。しかし、情報が事前に洩れたのか、待ち伏せにあった彼らは射殺されてしまう。どうやら仲間内にスパイがいるらしいと囁かれ、何事にも抜け目なく立ち回るセフトンが真っ先に疑われる。
キューバにあるグアンタナモ米海軍基地で海兵隊員ウィリアム・T・サンティアゴ一等兵が殺害された。被疑者は同じ部隊のハロルド・W・ドーソン上等兵 とローデン・ダウニー一等兵 。彼らの弁護人に任命されたダニエル・キャフィ中尉 はハーバード出身だが法廷経験がない。2人が軍隊内の落ちこぼれに対する通称コードR(CODE RED規律を乱す者への暴力的制裁)の遂行を命じられていたことを知る。
F・ベーデキントの同名戯曲の映画化で、ハリウッドからドイツに渡ったL・ブルックスに、その役名から“ルル”の愛称を与えた、官能的なメロドラマである。 場末の踊り子であるルルは養父シゴルヒの手練で新聞社社主のシェーン博士の愛人となり、一流の劇場に出るようになり、別れ話を切り出す彼を逆に手玉にとり、結婚を承諾させる。彼には年ごろの息子で秘書のアルヴァがいたが、ルルは親子の仲を引き裂くのを楽しむかのように息子をも誘惑する。彼女の激しい男出入りに更にその決定的事実を知ったシェーンは、ルルを殺して自分も死ぬ--と迫るが、もみ合った末、彼女に撃たれる。しかし、一旦は捕らわれた彼女は養父やアルヴァの手引きで裁判中に逃亡を図り、愛人の力業師ロドリゴの紹介で港町の賭博船で享楽のうちに過ごすが、ロドリゴが売った彼女を求める持ち主との間で争いが起こり、ルルに養父、アルヴァの三人はロンドンに密入国する。スラムでの極貧生活にルルは夜の女となる決意をし、部屋に男を入れ、その間、男二人は表で過ごす。その優男が、評判の切り裂きジャックだとは知らず……。
フランケンシュタイン男爵家の嫡男である若き科学者ヘンリーは、生命創造の研究に没頭していた。ヘンリーは助手のフリッツと共に墓地から盗み出した死体を接合し、彼に恩師であるウォルドマン教授の研究室から人間の脳を盗んでくるように指示する。同じ頃、行方不明になったヘンリーの身を案じる婚約者のエリザベスは、共通の友人ヴィクターと共にウォルドマンの元を尋ね、ヘンリーが生命の創造を行っていることを聞き出す。三人はヘンリーが籠る山奥の塔に向かい、彼の実験に立ち会うことになる。嵐の雷光を利用して高圧電流を浴びせられた死体は生命を得て目覚め、ヘンリーは狂喜する
中年の真面目な高校教師が、キャバレーのダンサーに惚れ込み、ドサ回りの道化役者となって……。ほろ苦い人間像を描き、マレーネ・ディートリッヒ、エミール・ヤニングスを代表する映画史に残る1作。
16世紀のイギリスを舞台に、権力に屈しなかったトーマス・モアの半生を描いた歴史ドラマ。時の国王ヘンリー8世は、王妃と離婚して別の女性と結婚しようとしていた。だが、トーマス・モアは、断固としてこれに反対、ついに国王の怒りを買ってしまう……。重厚なキャストと、絵画のような映像に支えられた堂々たる作品で、アカデミー作品・監督・主演男優(P・スコフィールド)・脚色・撮影・衣装デザインなど主要なオスカーを総嘗めにした秀作。
1962年、ボルチモア。ぽっちゃり体型だが前向きな16歳の女子高校生トレーシーは人気TV番組「コーニー・コリンズ・ショー」の憧れのキャスト、リンクと踊る日を夢見る。そんな時トレーシーは母エドナの反対を押し切って番組のオーディションに参加して一度は落選するが番組を司会するコリンズの目に留まり、レギュラー出演者の座を獲得。やがてトレーシーには黒人の友人が増えるが、番組が黒人を差別していると気付く。
1929年、ロンドン。多忙なロンドン警視庁の刑事フランク・ウェバーは、恋人のアリス・ホワイトよりも自分の仕事に関心があるようだ。無視されていると感じていたアリスは、エレガントで行儀のいい芸術家と出かけることに同意する。