ヨルダンの砂漠の真ん中に突如として現れる巨大な古代都市ペトラ。今から2000年以上前に造られたこの都市は、謎に満ち人々を魅了してやまない。ペトラの魅力はその圧倒的な大きさや美しさとともに、現代の専門家をも驚かせる優れた建築技術である。そびえ立つ神殿や精密な治水設備などが当時の人々の高度な文明と技術を物語っている。切り立つ岩山を利用して巨大都市を造り上げた建築技術とはどのようなものだったのだろうか。

2013年、東京・小金井。碧々とした緑に身を隠すようにして、国民的アニメーションスタジオの“スタジオジブリ”は存在している。 宮崎駿、彼の先輩であり師匠である高畑勲、そしてふたりの間を猛獣使いのごとく奔走するプロデューサー、鈴木敏夫。観客のみならず、世界の映画関係者やアニメーションの担い手たちにも多大な影響を与え続けてきたジブリの功績は、この天才たちによって紡がれ続けている。彼らの平均年齢は71歳。「風の谷のナウシカ」制作よりはるか以前、今から50年前に高畑と宮崎は出会い、鈴木が合流したのが30数年前。かくも長期に亘り苦楽を共にしてきた彼らの愛憎、そして創作の現場として日本に残された最後の桃源郷“スタジオジブリ”の 夢と狂気に満ちた姿とは…。 最新作の「風立ちぬ」(宮崎駿監督)と「かぐや姫の物語」(高畑勲監督)を制作中のジブリに広がる光と影に満ちた日常を通じて、繊細な表情までを捉え、スタジオの“今”を映し出した、砂田麻美監督。前作で数々の新人監督賞を受賞した彼女が伸びやかに描く、唯一無二のスタジオジブリの新たな物語。