A・タルコフスキーの作品は様々な映像の断片がコラージュされたようなものばかりである。この「鏡」もまたそうであり、彼の自伝的要素を持つというが、解るような解らないような……。でもその数々の映像はどれもこれもかっこ良く、戦争の記録フィルムらしきものも出てくる。物語などの存在は忘れてただひたすら映像の中で泳ぐような感覚で、なんとも美しい一本だ。
ある嵐の夜、イタリアの漁船が洋上に漂う意識不明の若い男を発見する。引き上げられたその男の背中には弾痕があり、皮下にはマイクロカプセルが埋め込まれ、それにはスイスの銀行の口座番号が印されていた。男はなんとか息を吹き返すが、記憶を失っており、自分の名前も分からない状態だった。数週間後、彼は身元の唯一の手掛かりであるスイスの銀行に向かう。その貸金庫にはジェイソン・ボーン名義を含め6ヵ国のパスポートや大金、そして拳銃が入っていた。やがて暗殺者たちに狙われ始めた彼は、偶然出会ったマリーの協力を得てパリへと向かうのだった。
自分を暗殺者に仕立てあげたCIAの極秘プロジェクト、“トレッドストーン計画”などに関する取材を進めていた新聞記者ロスとロンドンで接触しようとしたボーン。しかし、CIAの現地要員に監視されていたロスは、若い暗殺者に狙撃されてしまう。
1966年イギリス。まだイギリスに民放ラジオが存在せずポピュラーミュージックの放送が制限されていた時代に、北海からロック音楽を流して人気を集めていた「海賊ラジオ局」を取り巻く若者と政府を描く。ドラッグと喫煙で高校を退学になったカール(トム・スターリッジ)は、更正を望む母の提案で、母の旧友クエンティン(ビル・ナイ)のいる船に乗船。その船は、アメリカ出身のザ・カウント(フィリップ・シーモア・ホフマン)ら、クールなDJたちがロックの取締りをもくろむ政府の目を盗み、24時間ロックを流し続ける海賊ラジオ局だった。
UCLAの学生で詩の才能を高く買われていたジム・モリソン。ロックバンド・ドアーズを結成すると「ハートに火をつけて」が大ヒット。やがてカリスマ的な存在となるも、パフォーマンスがわいせつと非難されるように。恋人のパメラはそんな彼の奇行を心配し…。
1948年、テキサス州ヒューストン。オーロラは自分が産んだ娘をエマと名付ける。夫と死別した後、手塩にかけてエマを育てるオーロラにとって何よりの楽しみは、エマの成長だった。しかし、21歳になったエマはオーロラの反対を押し切って、ある大学教師と結婚してしまう。エマが去ってから1年後、オーロラの家の隣に住む元宇宙飛行士ギャレットは寂しそうなオーロラを慰める。オーロラはエマとの関係をすべて切り捨てる。
過去の記憶を失った男が、謎の組織に狙われるサスペンス・アクション。昔の記憶をなくしたタクシー運転手のジェリーは、周囲のちょっとしたことに国家の陰謀が隠されているという強迫観念に取りつかれていた。ある日、女性弁護士アリスに陰謀が迫っていると悟った彼は、彼女に接近するが変人扱いされる。だがジェリーの勘は正しく、謎の組織が二人を狙いはじめる。しかも、ジェリーがかつて特殊部隊の工作員だったことが判明する。
巨大な電気嵐が近未来の地球を襲い、各地で不慮の災害や事故が発生。自らもそのせいで危うく命を落としかけた宇宙飛行士のロイは、ある極秘情報を聞かされて驚く。かつて初の太陽系外有人探査計画の司令官として宇宙へ旅立ち、その後消息を絶った父のクリフォードが実はまだ生きていて、彼が今なお続行中の実験のせいで電気嵐が生じ、このままでは太陽系に壊滅的危機が訪れるというのだ。かくしてロイは父に会いに宇宙へと旅立つ。
巨大な河のほとりで、人類は目覚めた。地球に生まれ、死んでいった者全てが、過去の記憶を持ったままその河辺で蘇った。まさに宗教入っちゃいました系な復活だったが…河岸には謎の物質生成機が点々と設置され、そこから生成されたのは弁当とタオル地の服。どうも何者かが怪しい目的で皆を「製造」したらしいのだ。かくて野蛮で猥雑な人類の歴史が、未知の河のほとりで再開された。そんな折、元宇宙飛行士のジェフは「蒸気船を建造して源流まで冒険しよう」という男に出会う。そこには彼らを作った超文明人たちがいるはずなのだ…。