心の中に問題を抱えるエグゼクティブ青年ジャックはタイラーと名乗る男と知り合う。ふとしたことからタイラーとジャックが殴り合いを始めると、そこには多くの見物人が。その後、タイラーは酒場の地下でファイト・クラブなる拳闘の秘密集会を仕切ることに。たくさんの男たちがスリルを求めて集まるようになるが、やがてそのクラブは恐るべきテロ集団へと変貌していく……。「セブン」のコンビ、ブラピとフィンチャー監督が再び組んだ衝撃作。

ピューリッツァ賞を受賞したH・リーの『ものまね鳥を殺すには』を劇作家H・フートが脚色(オスカー受賞)、後に「サンセット物語」や「レッド・ムーン」などの社会派ドラマを多く手掛ける製作パクラ=監督マリガンのコンビが映画化した問題作。不況の風吹く1932年、南部のアラバマ州。幼い息子と娘を抱える弁護士フィンチに、暴行事件で訴えられた黒人トムの弁護の任が下る。だが偏見根強い町の人々は黒人側に付いたフィンチに冷たく当たるのだった……。映画はフィンチの子供たちを通して、父親の苦難や町の横暴を極めて客観的に描く事に成功しており、問題意識を振りかざさず、しんみりと心に染み入らせるものになっている。ペックは心強い父親像をよく出しており、アカデミーの主演男優賞に輝いた。黒人弁護のストーリーと並行して、近所に住む精神異常者ブー(R・デュヴァル)と子供たちの関係も描出されるが、これが物語の終息で融合し、映画に深い余韻を持たせている。

ジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)はギターを手に、ストリートミュージシャンとして日銭を稼いでいた。ドラッグ更生プログラムの最中のある日、彼はヘロインを摂取して病院に搬送される。退院後、彼が更生担当者ヴァル(ジョアンヌ・フロガット)が用意してくれた部屋に入居すると、どこからか茶トラの猫(ボブ)が迷い込む。ジェームズは、猫の飼い主を捜そうとしたが、見付けることができなかった。

1863年、南北戦争の激戦地。その自殺的行為から英雄となり、殊勲者として勤務地を選ぶ権利を与えられたジョン・ダンバーは、かねてより興味を持っていたダコダにあるセッジウィック砦を望んだ。彼は、愛馬シスコと野性の狼と共に、不思議に満ち足りた日々を送り始める。そんなある日、ふとした事からインディアンたちと交流を深めるようなったダンバーは、やがて、インディアンに育てられた白人女性と恋に落ちる。

海と雲に覆われた惑星ソラリスを探索中の宇宙ステーション「プロメテウス」との通信が途切れたことから、心理学者のクリスは調査のために派遣される。 「プロメテウス」に到着したクリスが目にしたのは、友人の自殺死体、いないはずの人物の痕跡、そして知性を持つ有機体である海が及ぼす、不可解な現象の数々であった。

30年代半ばの中西部の大飢饉を題材に、あからさまにニューディール政策の側に立って、アメリカ農民の詩を謳う、スタインベックの同名小説の映画化。 殺人容疑で入獄していたトムは仮釈放で4年ぶりに故郷オクラホマの農場に戻るが、小作人として働いていた一家は既に凶作の土地を逃れさったあとだった。叔父の家で家族と再会した彼は、みなで遥かカリフォルニアに行き、職を求めるのだったが……。

スタンフォード大学心理学部ではある実験をするため、被験者となってくれる男性を公募した。集まった20名ほどの被験者は無作為に「看守役」と「囚人役」に分けられ、学内に設けられた模擬刑務所に収容された。初めはそれぞれの役を演じるだけの簡単なアルバイトと誰もが考えていた。しかし、実験が進むうち、「看守役」の攻撃的な振る舞いはどんどんエスカレートしていく。それに対して、「囚人役」は卑屈に服従するのみで、まったく抗議できなくなっていく。いつしか、模擬刑務所内は単なる実験の枠組みを越えて、もはや誰にも制御不能の状態に陥っていく……。

イギリスの女性小説家バージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」をモチーフに、3つの時代、3つの場所で暮らす女性たちの1日を繊細に描いた人間ドラマ。1923年、ロンドン郊外。作家ヴァージニア・ウルフは病気療養のためこの地に移り住み、『ダロウェイ夫人』を執筆していた。午後にはティー・パーティが控えている…。1951年、ロサンジェルス。『ダロウェイ夫人』を愛読する妊娠中の主婦ローラ・ブラウンは、夫の望む理想の妻を演じることに疲れながらも、夫の誕生パーティを開くためケーキを作り始める…。2001年、ニューヨーク。『ダロウェイ夫人』と同じ名前の編集者クラリッサ・ヴォーンは、親しい友人でエイズ患者の作家リチャードが栄えある賞を受賞したことを祝うパーティの準備に取りかかっていた…。

NYからギリシャのアテネに向かっていた豪華客船ポセイドン号が、海底地震による大津波に飲まれて転覆。その惨状とともに生き残った船客の脱出劇を描いた、ロナルド・ニーム監督による傑作パニック巨編。

壮大な大自然と動物たちの微妙な表情までを捉えた映像で、大ヒットを記録した感動大作。ロッキー山脈の麓で生まれた一頭の子熊。母を失った子熊は森の中で孤独な雄熊と出会う。しかし子熊は捕らえられ……。

害虫駆除を仕事にしている小説家志望の主人公ウィリアム(P・ウェラー)。彼は寸暇を惜しんでタイプライターに向かっているが、その分、本業がおろそかになっている。妻(J・デイヴィス)は麻薬に手をだし、廃人の一歩手前。そんな中、かつては中毒者だった彼自身、自分の売る怪しげな殺虫剤を試して、恐ろしい幻覚と溢れる想像力を交互に得るようになる……。W・バロウズの有名な同名小説を「ザ・フライ」「戦慄の絆」のD・クローネンバーグが監督した問題作。

緊迫する東西情勢の中、キューバにソ連製のミサイルが運び込まれるという情報がもたらされた。米仏の情報機関は、これを探るため局員を現地に派遣する。そして、浮かび上がったトパーズという謎の組織を追って、局員はその正体を探るが…。キューバ危機を背景にしたスパイ・スリラー。