シュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家のドライマン(セバスチャン・コッホ)と恋人で舞台女優のクリスタ(マルティナ・ゲデック)が反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。ヴィースラーは盗聴器を通して彼らの監視を始めるが、自由な思想を持つ彼らに次第に魅せられ……。

第一次大戦のさなか、ドイツ軍の捕虜となるマレシャル大尉とボアルデュ大尉。さまざまな階級の人間の集う収容所で、一緒になった連中とも打ち解けないままに、やがて脱走計画が企てられる……。

守護天使ダミエルは、長い歴史を天使として見届け、人間のあらゆるドラマを寄り添うように見守った。だが親友カシエルに永遠の生命を放棄し、人間になりたい、と打ち明ける。やがてサーカスの舞姫マリオンに想いを寄せるダミエルはついに「壁」を境に東西に隔てられた街「ベルリン」に降り立つ。

第1次大戦がはじまってまもない、ドイツのある町。群衆の歓声に送られて、戦場へ向かう大部隊が進軍してゆく。学校の教室では、老教師が生徒に愛国心を説いていた。情熱に駆り立てられた若者たちは、ただちに出征を志願するが、前線は飢えと死の恐怖だけの毎日だった。

1944年、アメリカ。12歳のジョニーは兄のジャックと共に両親の畑仕事を手伝っていた。しかし、一家の貧しい生活は一向に楽にならず、父は酒に溺れる日々だった。そんなジョニーの心のなぐさめとなったのは、兄ジャックの優しさと、ラジオから流れてくるゴスペルやカントリー音楽だった。ある時、最愛の兄が突然の事故でこの世を去ってしまう。出来のいい息子を失ったショックでますます荒れる父親とジョニーとの確執は広がっていく。そして、空軍に入隊したジョニーは実家を離れ、ドイツに駐屯する。除隊後に初恋の女性ヴィヴィアンと結婚、子供も授かった。訪問セールスの仕事の合間に友人とゴスペル・バンドを組んで音楽を楽しむジョニーだったが、家計は苦しく、徐々に夫婦の仲も冷え切っていく。 そんなある日、ジョニーは街角で偶然見かけたレコード会社で、オーディションの機会を得る。そこで空軍時代に書いた囚人の心の叫びとも言える歌を熱唱し、その実力を認められる。そして瞬く間にプロのミュージシャンとしての第一歩を踏み出すことになった。早速、同じレコード会社のジェリー・リー・ルイスやエルヴィス・プレスリーらと全米中をツアーでまわっていた時、ジョニーは少年時代からの憧れだったジューン・カーターと出会い、すぐに意気投合する。この出会いが、これからの彼らの長い運命の始まりとなるのだった……。

ポーランドのダンチッヒを舞台に、3歳で自らの成長を止めた少年オスカルの視点で、1927年から1945年の激動の時代を描いた異色の大力作。ブリキの太鼓を叩き、奇声を発しガラスを割るという不思議な力も身につけたオスカル、従兄との不倫を続ける母、臆病者の父、画面は時代が産んだ奇異なキャラクターとグロテスクな描写に溢れ、その毒気たるや凄まじいばかりのものである。