1800年。フランスのストラスブール。軽騎兵のフェロー中尉(ハーヴェイ・カイテル)が町の有力者の甥を決闘で傷つけた。“名誉のため”という名目だったが、軍の命令はフェローに厳しかった。その命令を単に伝える使命でフェローのもとを訪れた軽騎兵デュベール中尉(キース・キャラダイン)は、理由もなくフェローに決闘を申し込まれ、名誉のために受けてたち、彼に傷を与えた。この日から二人の宿命的な対決の人生がはじまった。フェローはデュベールとの決闘に執念を燃やし、彼の行く先々に姿を現わした。二度目の対決は、デュベールがアウグスブルグに駐屯していた時だった。決闘で負傷したデュベールに、将軍はこれ以上決闘を続ければ除隊させると告げた。しかし、1806年、リューべックではデュベールがフェローを傷つけて終わるが、1812年ロシア遠征では、奇妙な友情のような感情が芽ばえだし、凍るような寒さの中で互いに手をさしのべあうのだった。そして1814年、ルイ18世が即位したフランス。デュベールは、姉のすすめでアデル(クリスティーナ・レインズ)と結婚し、しあわせで平穏な生活を送っていた。そこにまたしてもフェローが現われ、決闘を申し込んだ。最後の決闘はピストルで行なわれることになった。廃虚に銃声が轟いた。しかし、優勢に立ったデュベールは、フェローから的をはずして発砲し、その場を去っていた。
厚生保健省に勤める藤本賢吾(松田翔太)の仕事は、政府から発行された死亡予告証を本人に届けることだった。「国家繁栄維持法」が施行されたその世界では、国民に生命の価値と死の恐怖を植え付けるために、小学校入学以前のすべての児童が「国繁予防接種」を受けることが義務づけられていた。そして、1000人にひとりの確率で、18歳から24歳に成長した時期、死を迎える。その24時間前に、通称「逝紙(イキガミ)」を配達して、死亡宣告を下すのが藤本の役目だった。かつてはストリートミュージシャンとして森尾(塚本高史)とコンビを組みながらも、音楽事務所からスカウトされてメジャーデビューを果たした田辺翼(金井勇太)。「国家繁栄維持法」を支持する女性議員の滝沢和子(風吹ジュン)の息子であり、ひきこもりの直樹(佐野和真)。幼い頃に交通事故で両親を亡くし、その事故で視力を失った妹のさくら(成海璃子)を守ろうとする兄のさとし(山田孝之)。そんな若者たちに、藤本は「逝紙」を届ける。田辺は、初のテレビ出演で自作の曲を歌いながら倒れた。警官の銃を奪って、選挙演説中の母を撃とうとした直樹は、その計画に失敗して果てる。そして、自分の生命の終わりを知ったさとしは、さくらに角膜移植することを決意する。翼の歌は、彼の死後に大ヒットする。選挙戦では敗れた和子だが、夫の信利が新たに出馬を決意した。兄からの角膜移植を拒否するさくらも、医師の近藤(井川遥)をはじめとする病院中での応援で、視力を取り戻す。さとしの命と引き換えに…。厚生保健省の参事官(柄本明)や、上司の石井課長(笹野高史)から意義を説かれながらも、藤本は自分の仕事に葛藤と疑問を感じ続ける。「国家繁栄維持法」は、本当に正しいのか? しかし、この政策に反対する者は退廃思想者として国家から厳正な処置を受ける。そして、今日も藤本は、「逝紙」を配達するのだった。
実際に起きたとされる「マリー・アントワネットのネックレス事件」を題材に、フランス王朝を揺るがした世紀のスキャンダルを映画化。主演は『ボーイズ・ドント・クライ』のヒラリー・スワンク。
自ら富を築いた男は心優しい女性と結婚し、運命の人と幸せをつかんだと思っていた。ところが、彼は美しい客室乗務員に心を引かれ、妻への愛を試されてしまう。