歴史の連続性が途絶えるほどの未来、世界はその姿を大きく変えていた。 それはどこまでも続く巨大な廃墟の世界。 海や大地は姿を消し、過去の風景は廃墟から発掘される『記録』の中にのみ存在していた。 記録を発掘 ・復元し、そこから過去の世界を分析する。 これらの作業を一手に引き受ける施設『記録発掘局』。 この世界で92番目に設立された発掘局に、ウラはいた。彼はあらゆる記録に、過去の世界に埋没していた。 彼を遠くから見守る距離に、いつもリコがいた。彼女は記録に背を向けていた。 この世界のあらゆる人間は知っていた。 過去を知ることは、この現実の不幸を知ることだと。 ある時ウラは、奇妙な映像記録を復元する。
たった60分で文明を荒廃させた最終戦争後の世界。残された人類は空や海、そして地を這う車輪の上に移動型の都市で創り出し、他の小さな都市を"捕食"することで資源や労働力を奪い生活している。"都市が都市を喰う"、弱肉強食の世界へと姿を変えたこの地上は、巨大移動都市"ロンドン"によって支配されようとしていた。他の都市を次々に飲み込み成長を続けるロンドンを前に、小さな都市と人々が逃げるようにして絶望的な日々を送る中、一人の少女が反撃へと動き出す。