1985年、英国の登山家2人、ジョーとサイモンは、標高が6600mもあり、前人未到の難所だったシウラ・グランデ峰の登頂に成功。だが下山途中にジョーが足を骨折してしまう。サイモンは、彼と自分の体をザイルでつないで下山を試みるが、再び予期せぬアクシデントが発生し、ジョーは氷の絶壁に宙吊りになってしまう。生と死の瀬戸際に立つサイモンは、覚悟を決め、2人をつなぐザイルをナイフで切断する決意をする。

19世紀のデンマークの小島を舞台に、スウェーデンからの移民親子の可酷な体験と少年の成長を描く。製作はペア・ホルスト、マーティン・アナセン・ネクセの原作『勝利者ペレ』の〈幼年時代〉を基に、監督・脚本は本作品が日本公開第一作になるビレ・アウグスト、撮影は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」のヨルゲン・ペルソン、音楽はステファン・ニルソンが担当。出演はマックス・フォン・シドー、ペレ・ヴェネゴーほか。88年カンヌ映画祭グランプリ、89年アカデミー賞外国語映画賞受賞作。

大ヒットとなった同名のミステリー小説の映画化。田舎で平凡な暮らしを送るハンクは、雪に覆われた森の中に墜落した自家用飛行機の中から現金440万ドルを発見する。この大金が自分達の未来を変えると信じた彼は、妻のサラ、どん底の暮らしを送る兄のジェイコブらと共に、現金を自分達の物にするための“シンプルな”計画を実行に移すが……。欲望が巻き起こす悲劇のクライマックスには、小説版とは異なるアレンジが加えられている。

ヴィム・ヴェンダース、31歳の時に撮った長編第7作。白血病で死の不安に生きているハンブルグの額縁職人ヨナタン。彼を殺人にはめ込み、完全犯罪を進めながら危険な友情にはまりこんでいくトム・リプレー。死んだ筈の画家の贋作を書いているポガッシュ。物語は、サスペンスに富む発端の画の競売シーンから、この3人の絡んだストーリーを小気味よいテンポで進めていく。

まだ封建的であった20世紀初頭のイギリス。良家の令嬢ルーシーは、旅先のフィレンツェで労働者階級の青年と出会う。情熱的な彼にルーシーは強く惹かれるが……。格調高い様式美の中で綴られるラヴ・ロマンス。

文豪ハーディの名作を、ポランスキーが映像化したメロドラマ。19世紀末、ドーセット地方の貧農の娘テスは遠縁のダーバビル家に奉公に出される。その息子にかどわかされ私生児を孕んだ彼女だが、実家に戻って生んだ子はわずか数週間で死んでしまう。後に働きに出た農場で牧師の息子と美しい恋に落ち結婚するが、テスの過去を初夜に知った彼はそのまま外国に去っていく。流転の人生の果てに再び彼とめぐりあうテスだが、もはや新たな選択は破滅を意味した……。

大学時代にクラスメイトだったケイティとバベルは、第二次世界大戦末期に再会し結婚する。しかし政治運動に没頭するケイティと脚本家を目指すバベルは、次第に違う道を歩き始めることに……。激動の時代を生き抜いた男女のラヴ・ストーリー。

母親を亡くし、父親に見捨てられたガブリエル・シャネルは、姉と共に田舎の孤児院で少女時代を過ごす。やがて、仕立屋でお針子仕事をする傍ら、姉と共にキャバレーで歌を歌い、つましく生計を立てていく。また、その時の持ち歌から“ココ”の愛称で呼ばれ、本格的に歌手を志すようになるガブリエル。そんな彼女はある日、エティエンヌという裕福な将校と出会う。愛人関係となった彼の支援で歌手になる夢も膨らみ、上流階級の社交界も知るガブリエル。ところが、歌手の夢は潰え、愛人に留まるだけのエティエンヌとの生活も次第に陰りが見え始める。しかし、この時ガブリエルには裁縫の独創的で類い希な才能が芽生えていた。そうした中、本当の彼女を理解するイギリス人の実業家ボーイ・カペルが現われ、相思相愛となるのだが…。

子ども欲しさに、瀕死の兵士との間に一児をもうけた看護婦。生まれた子どもはガープと名づけられ、健やかに成長していくのだが……。彼の数奇な運命をユーモアとペーソスを交えて綴った人間ドラマ。

ホテル経営を夢見る父を大黒柱とする不思議な家族の物語が、次男のジョン視点で語られていく。若い頃高級ホテル「アーバスノット・バイ・ザ・シー」でひと夏のアルバイトを経験したベリー家の父ウィンスロー(ウィン)は、ホテルに現れた熊と大道芸人のフロイトと出会う。ヨーロッパに渡るためにフロイトは熊をウィンスローに託すが、熊は誤射によって死んでしまう。その後ニューハンプシャー州デイリーで高校教師を務めるもののホテル経営の夢を抱いていたウィンスローは廃校になった女子高を買い取りそこを「ホテル・ニューハンプシャー」と名付け、家族を巻き込んだホテル経営に乗り出す。