容姿は冴えないが天才的なセンスをもつ無名のミュージシャンであるウィンスロー・リーチは、誰の後ろ盾もなく自分の曲を懸命に売り込もうとしていた。その最中に無名で駆け出しの女性歌手フェニックスの才能を見出し、ともにその将来を夢見る。だが間を置かず、大手レコード会社「デス・レコード」社長のスワンに曲を奪われ、美しい彼女は身体を奪われかけ、自身は無実の罪で投獄される。獄中でスワンが自分の作品に醜悪なアレンジを施し、大々的に売り出そうとすることを知ったウィンスローは激怒し、脱獄してレコード会社に乱入するが、警官に制止された際、誤ってプレス機に頭を挟まれ、顔と声が潰れてしまう。

『ファントム』は1991年の初演の後、米国内ツアーで高い評価を受け全米各地で上演されてきたミュージカルで、宝塚歌劇では2004年に宙組で上演。仮面を被り地下で生きていかなければならない運命を背負い、苦渋に満ちた人生を送る怪人の心の葛藤を鮮明に浮かび上がらせ、悲劇の結末までをドラマティックに描き出し、更に宝塚版では、モーリー・イェストンによる新曲の提供、またダンスシーン、エピローグを新たに加え、宝塚歌劇ならではのロマンティックな色合いをより強く打ち出し上演し、大好評を博しました。  今回の花組では、ファントムに春野寿美礼、相手役クリスティーヌに桜乃彩音の新主演コンビが扮し、花組版として新演出も加えたこの大作ミュージカルに挑みます。