1952年のイギリス、ロンドン。法曹界の重鎮としてその名を知られる老弁護士ウィルフリッド卿は、生死を彷徨う重病の床から、口うるさい付き添い看護婦ミス・プリムソル随行で退院を果たした。ウィルフリッドは事務所に落ち着く間もなく、事務弁護士メイヒューに連れられた未亡人殺しの容疑者レナード・ヴォールの弁護依頼を受ける。アリバイの証明者は夫人しかおらず、状況は極めて不利。まもなく彼らの元を警察が訪れ、レナードは殺人容疑で逮捕されてしまう。
14歳のムシェット。家庭の貧困と父の暴力と、同級生の豊かさと美しさ、そして土曜の午後のカンタータの練習に痛めつけられる少女。森番の洩らす秘密を知って、約束を守ると誓ったのに犯されてしまう無垢な肉体。しかし、その秘密すらただの幻影に過ぎなかったと分かって、少女は完全な孤立を味わう。そんな彼女に残された選択は……。ブレッソンが、「田舎司祭の日記」の原作者G・ベルナノスの小説を、自ら脚色して映画化。
イギリスの一流学園の生徒4人が突然失踪するが、18日後、そのうちの1人、リズだけが憔悴した姿で帰還する。彼女は学園中の女子生徒の憧れの的である男子生徒マイクと、その親友のジェフ、それにフランキーというクラスメイト3人とともに、近くにある防空壕跡の秘密の“穴”に閉じこもり、ちょっとした週末のパーティーを楽しんでいた、と証言する。ところがその話の裏には、彼女の切なくも痛ましい乙女心が隠されていて……。
ライン川を挟んだ両岸に広がるドイツの古都ケルン。過去と現在が混在するようなこの町で暮らす7人の男女、レニー、セーアン、ステラ、ソフィア、ニック、ピア、マリア。サラリーマンからコールガールまで、年齢も職業も違う他人同士の彼らは、ある者は純粋な愛の喜びに震え、ある者は異常な欲望に溺れ、ある者は愛を金で買おうとする。大都会の夜を漂う彼らは、出会い、交わり、別れ、そしてまた出会いを繰り返していく。