ニューヨークの夜を走るひとりのタクシードライバーを主人公に、現代都市に潜む狂気と混乱を描き出した、監督マーティン・スコセッシ×主演ロバート・デ・ニーロの、アメリカン・ニューシネマの傑作。ベトナム帰りの青年トラヴィス・ビックルは夜の街をタクシーで流しながら、世界の不浄さに苛立ちを感じていた。大統領候補の選挙事務所に勤めるベッツィと親しくなるトラヴィスだったが、彼女をポルノ映画館に誘ったことで絶交されてしまう。やがて、闇ルートから銃を手に入れたトラヴィスは自己鍛錬を始めるが、そんな彼の胸中にひとつの計画が沸き上がる……。

レコードを聴きながら自殺──。1930年代、世界中でそんな現象を巻き起こし、呪われた「自殺の聖歌」として、発禁処分を受けるに至った曲があった。現在も多くのアーティストによって歌い継がれるシャンソンの名曲「暗い日曜日」である。その後、作曲者自らも死を選んでいる。今もなお、多くの謎を残すこの曲の誕生には、激しくも切ない愛の物語が隠されていた……。第二次世界大戦前夜のブタペスト。レストランのオーナー、その麗しき恋人、店のピアノ弾き、彼らは互いに愛を共有し合う関係を保っていた。しかし、ピアノ弾きが「暗い日曜日」を作曲したことから、運命の歯車が狂いはじめる。生きること、愛することが簡単ではなかった時代。危ういほどに美しい旋律は、”真実”までも葬り去ってしまうのか……。

イスラエル人監督、アリ・フォルマンが自らの戦争体験を描き、2009年のアカデミー賞で外国語映画賞に選出されたドキュメンタリーアニメ。アリは旧友と再会を果たすが、会話の途中でふと自分の記憶が一時期だけ抜け落ちていることに気付き…。

マドリードに住む移植コーディネーターのマヌエラは、作家志望の息子・エステバンを女手一つで育ててきた。エステバンの誕生日、二人は『欲望という名の電車』の舞台を観に行く。そして、マヌエラが息子に今まで話さなかった父のことを話そうと決心したとき、エステバンは舞台の主演だった大女優ウマ・ロッホにサインをもらおうとして車にはねられ、そのまま亡くなってしまう。 息子の死を行方不明となっている父に伝えるため、バルセロナへ旅立ったマヌエラは、ひょんなことから息子の死の原因となったウマの付き人になる。バルセロナでマヌエラは、ウマのレズビアンの恋人で麻薬中毒の若手女優・ニナ、性転換した明るいゲイの娼婦・アグラード、エイズを抱えて妊娠した純朴なシスター・ロサ、その母親でボケの進んだ夫に手を焼く厳格な贋作画家、そして、今では「ロラ」という名の女性となりロサにエイズをうつした、息子と同名の元夫といった様々な女性たちと出会い、やがて人生への希望を取り戻していく。

「息子のまなざし」「ある子供」のダルデンヌ兄弟が、国籍を取得するため偽装結婚をした移民女性を主人公に描く感動のヒューマン・ラブストーリー。偽りの結婚生活の中で思いがけず情が移り始めたことで生まれる葛藤と断ち切れない闇社会との関係に追いつめられていくさまを大胆な構成でサスペンスフルに描き出していく。主演は新星アルタ・ドブロシ、共演に「ある子供」のジェレミー・レニエ。  アルバニアからベルギーにやって来た女性、ロルナ。同郷の恋人とこの地でバーを開くことを夢見る彼女は、この国の国籍を取得するため闇のブローカー、ファビオの手引きで麻薬中毒の青年クローディと偽装結婚をする。最初は疎ましく思いながらも、自分を慕い懸命に麻薬から足を洗おうと苦しむクローディの姿に、いつしか特別な感情が芽生え始めるロルナだったが…。

生まれ育ったニューヨークを捨ててアルゼンチンで暮らす兄を探しに、異母弟のベニーがブエノスアイレスに降り立つが、名前を「テトロ」と変えた兄はそっけない態度をとるだけだった。そんなある日、ベニーは兄が密かに執筆していた自伝を盗み見てしまい、それをきっかけに兄弟の仲は決裂。さらにベニー自身の出生にかかわる家族の秘密が明らかになっていく。

過去の記憶を失った男が、謎の組織に狙われるサスペンス・アクション。昔の記憶をなくしたタクシー運転手のジェリーは、周囲のちょっとしたことに国家の陰謀が隠されているという強迫観念に取りつかれていた。ある日、女性弁護士アリスに陰謀が迫っていると悟った彼は、彼女に接近するが変人扱いされる。だがジェリーの勘は正しく、謎の組織が二人を狙いはじめる。しかも、ジェリーがかつて特殊部隊の工作員だったことが判明する。