彦根藩井伊家の上屋敷に津雲半四郎と名乗る浪人が現れ「切腹のためお庭拝借」と申し出た。生活に困窮した浪人が「切腹する」と言っては、庭や玄関を汚されたくない人々から金品を巻き上げることが流行っており、家老の斎藤勘解由は数ヶ月前にやってきた千々岩求女という浪人の話を始めた。家老が切腹の場を設けてやると言い出すと、求女は狼狽したあげく、竹光で腹を切った上に舌を噛んで絶命した、と。話を聞いた半四郎は、求女は自分の娘婿であることを告げた。

平安時代、羅生門の下で雨宿りをする下男(上田吉二郎)相手に、旅法師(千秋実)と杣売り(志村喬)が奇妙な話を語り始める。京の都で悪名高き盗賊多襄丸(三船敏郎)が山中で侍夫婦の妻(京マチ子)を襲い、夫(森雅之)を殺害したという。だが、検非違使による調査が始まると、盗賊と妻の証言はまったく異なっており……。

やくざと元締めが対立するさびれた宿場町。そこへ一人の浪人者がやってくる。立ち寄った居酒屋のあるじに、早くこの町を出ていった方がいいと言われるが、その男は自分を用心棒として売り込み始める。やがて男をめぐって、二つの勢力は対立を深めていく……。ハメットの『血の収穫』を翻案、時代劇に西部劇の要素を取り込んだ娯楽活劇。

戦国の世、貧しい陶工・源十郎が若狭姫という女性と知り合い、生活をともにするようになる。だが美しい若狭姫の正体は死霊であった。それを知った源十郎は若狭姫を捨てて故郷に逃げるが、彼女の怨念は執拗に追いすがる……。「雨月物語」をベースに、川口松太郎らが脚色。

凄腕の浪人が、上役の不正を暴こうと立ち上がった9人の若侍に助太刀する痛快アクション時代劇。薄暗い社殿で密議をこらしていた9人の若侍。上役を告発するも逆に窮地に陥っていた。それを図らずも聞いていた浪人は、権謀に疎い彼らに同情し一肌脱ぐことに……。

山岡荘八の長編小説『織田信長』を「百万両五十三次」の結束信二が脚色し「いろは若衆 花駕籠峠」の河野寿一が監督した時代劇巨編。父の死から桶狭間の戦まで、織田信長の半生を描く。 父の葬儀に荒縄を腰に巻いた姿で現れた十六歳の織田信長は、抹香を位牌に投げつけた。世間からは狂人とののしられたが、妻の濃姫だけは信長の頬を伝う涙を見逃さなかった。濃姫の父である美濃の斉藤道三は信長に面会を要求してきたが、信長はこれを拒否し「うつけもの」の仮面をかぶり続けた。しかし最愛の家臣だった平手政秀が自害したことから、信長は一転して面会を受諾、礼装し千人の軍を率いて道三を圧倒した。しかし突然、今川義元が四万もの大軍を率いて尾張領に攻め込んできた。それに対して信長軍はわずか五千。今川軍はすでに桶狭間まで迫ってきていた。

盲目のやくざ・市がある宿場町に到着した。その町はやくざの銀蔵一家に支配され、人々は苦しい生活を強いられていた。ここで市はおうめの家に厄介になる。賭場にて遊び人でおうめの甥の新吉と出会い、幼少時に盗賊に両親を殺害され、その親の仇を探して旅をしている芸者の姉妹と出会う。脱藩して職を失った浪人もこの町にたどりつき、剣術の腕を買われて銀蔵一家の用心棒を務める。とある飯屋で市と浪人は出会い、互いに相手の剣術の凄さを見抜くのだった。

幕末。14代将軍・家茂が逝去し、跡継ぎ慶喜の住む京都に将軍家の密書が運ばれることになる。だが、主水ら品川宿の同心が護衛する中、何者かに密書が奪われてしまった。責任を問われた主水と上司の筆頭同心・田中は、密書奪還のため京都へ。密書には初代将軍家康公が築いた黒谷屋敷に隠されている秘密が記されていたという。屋敷に向かった主水たちだが、そこは侵入者を阻む罠がいたるところに仕掛けられたからくり屋敷だった。