狭い空間の中で目覚めた1人の女性。完全に記憶を失っている彼女は、自分が何者なのかも、何故ここにいるのかも思い出せない。ミロと名乗るAIに話しかけられた彼女は、ここが密閉された極低温ポッドであること、そしてポッド内の酸素は残り僅かであることを知らされる。酸素が底をつく前に脱出を図るべく、自身の記憶を必死で手繰り寄せる彼女だったが……。

ベルギー、オステンド。海辺の退廃的なホテルで、新婚のステファンとヴァレリーは、謎めいたバートリー伯爵夫人とその秘書イロナに出会う。

ベストセラー作家に近づく謎に満ちたエル<彼女>。 彼女は何者なのか? 狙いは何なのか? ふたりの女性の危ういほどスリリングな関係に、 ポランスキーが仕掛けた戦慄のミステリー フランスで今もっとも注目されている作家デルフィーヌ・ド・ヴィガンの小説「デルフィーヌの友情」を映像化したのは巨匠ロマン・ポランスキー。熟練の技巧を凝らして随所に意味ありげな描写を織り交ぜながら、ふたりのヒロインがたどる予測不能の運命をスリリングに映し出す。人間の孤独とアイデンティティーの揺らぎ、密室的なシチュエーションで膨れ上がる極限の不安、じわじわと曖昧になっていく現実とフィクションの境目。これらまさしくポランスキー的なサスペンスと倒錯が渦巻く映像世界は、ひとときもスクリーンから目が離せず、ラスト・シーンを見届けた後もしばし観客を幻惑する。