石巻、大阪、帯広、東京を舞台に、歌うことでしか“声”を出せない住所不定の路上ミュージシャン・キリエ、行方のわからなくなった婚約者を捜す青年・夏彦、傷ついた人々に寄り添う小学校教師・フミ、過去と名前を捨ててキリエのマネージャーとなる謎めいた女性・イッコら、降りかかる苦難に翻弄されながら出逢いと別れを繰り返す男女4人の13年間にわたる愛の物語を、切なくもドラマティックに描き出す。
夫を亡くした圭子は、外国人マスターが経営する銀座のバー“ライラック”の雇われマダムだった。よく店に来ていた利権屋の美濃部が、かつて圭子の下で働いていたユリに店を持たせ、そちらへ頻繁に出入りしているようだ。マスターからはユリのように体を張って売り上げを回復させろと言われてしまう。ある日、狂言自殺をするつもりだったユリが本当に死亡した。葬儀の席で圭子は美濃部に食ってかかるが、血を吐いて倒れてしまう。酒の飲み過ぎで胃潰瘍にかかっていたのだ。やがて圭子は客に体を許すようになるが、その度に裏切られてしまう。
赤線地帯にある特殊飲食店「夢の里」の主人は、国会に上程されている売春禁止法案が可決されたら売春婦はみな投獄されると、女たちを慌てさせる。より江はなじみ客と結婚するが、夫婦生活が破綻し舞い戻ってきた。一人息子のために働くゆめ子だったが、その息子から縁を切られ発狂してしまった。やすみは自分に貢いでくれた客に殺されかけた。ラジオが売春禁止法案の否決を伝えると、「夢の里」は再び客の呼び込みを始めた。そしてそこには、店を辞めたやすみに代わり、下働きだったしず子の姿があった。
1980年代初頭、映画学校に通う温室育ちの学生がひとりの男と出会う。教養豊かだが怪しげなその男と親密な関係になるなかで、彼女は撮りたい世界を見いだしてゆく。
韓国大統領・朴正煕の独裁政権下、政敵・金大中(チェ・イルファ)は反朴民主化運動に奔走していた。 そんな時、自衛隊情報機関所属の富田(佐藤浩市)はKCIA(韓国中央情報部)から金大中の捜索協力を依頼される。 次第に彼はその計画に深く関っていく。
レズビアンのケイは、恋人アイとの関係や自身の生き方に不安を感じる日々を過ごしている。一方、日本画を学ぶムスリムのイラン人留学生ナイマはビザや、将来的な日本での生活、同級生との交流に不安を抱えていた。ある日、ナイマとの出会いをきっかけにケイの中で何かが変わり始める。