1950年。第二次世界大戦の終結による満州国の崩壊と国共内戦の終結により、共産主義国である中華人民共和国の一都市となったハルビン駅の構内。5年間にわたるソビエト連邦での抑留を解かれ、中華人民共和国に送還された「戦犯」達がごった返す中で、列から外れた1人の男が洗面所で自殺を試みる。男は監視人の手により一命を取り留めるものの、薄れ行く意識の中で幼い日々の頃を思い出していた。この男こそ清朝最後の皇帝にして満州国の皇帝、「ラスト・エンペラー」と呼ばれた愛新覚羅溥儀その人であった。

19世紀の半ば、スコットランドからニュージーランドへ写真結婚で嫁ぐエイダ。旅のお供は娘のフロラと一台のピアノ。エイダは6歳の時から口がきけず、ピアノが彼女の言葉だった。夫のスチュアートはそのピアノを重すぎると浜辺に置き去りにし、原住民に同化している男ベインズの土地と交換してしまう。ベインズはエイダに“ピアノ・レッスン”をしてくれればピアノを返すというが……。

セシルの純潔を汚させようするメルトイユ侯爵夫人の計画と、それを実行するバルモン子爵……。18世紀のフランス革命前夜、貴族社交界を舞台に繰り広げられた快楽と退廃の人間模様を描いた、88年アメリカ作品。

1920年代、当時フランス領だったインドシナが舞台。富豪の中国人青年とその愛人である15歳のフランス人少女との間に芽生えた、許されない恋を描く。究極なまでに美しいラブ・ロマンス。

有名な悲劇の王妃マリー・アントワネットの物語を、1人の女性の成長期としてとらえた宮廷絵巻。幼くして故郷を離れ、異郷フランスの王室で必死に生きた女性の激動の人生を丁寧に物語る。監督は『ロスト・イン・トランスレーション』のソフィア・コッポラ。『スパイダーマン』シリーズのキルステン・ダンストが孤独を抱えて生きる女性を愛くるしく演じている。実際のヴェルサイユ宮殿で撮影された豪華な調度品や衣装の数々は必見。

フリーでイタリア語の翻訳をしている香山笑子は親の勧めで見合いをすることになった。相手は30歳の医師・岸田睦月。笑子は情緒不安定でアルコール依存症、睦月は同性愛者だったが、それを納得して2人は結婚する。新婚生活がしばらく過ぎた頃、笑子は睦月の恋人・藤島紺に接触しようとする。最初は警戒した紺だったが、ある夜、睦月が帰宅すると紺がやって来ていた。3人の間には、友情とも愛情ともつかぬ不思議な関係ができあがりつつあった。睦月は笑子を好きになっていたが、彼女を抱くことはできず、彼女の親友・瑞穂に笑子に恋人を紹介してやってほしいと言う。それを知った笑子はショックを受けた。紺もまた笑子の方に同情的だった。やがて笑子の両親に、瑞穂を通して睦月が同性愛者であることが知れ渡り、離婚騒ぎになる。笑子は睦月と別れないためにも、人口受精で子供を作ることを考えるが、睦月は猛反対する。関係のバランスの崩れた笑子、睦月、紺の3人は気まずい気持ちのまま夜の街を車で走っていく。途中、笑子がひとり車を降りて夜の闇の中に走り去る。睦月を責める紺。夜明けが来た。倒れるまで走り続けた笑子の前に、睦月と紺の優しい笑顔があった。