平安時代、羅生門の下で雨宿りをする下男(上田吉二郎)相手に、旅法師(千秋実)と杣売り(志村喬)が奇妙な話を語り始める。京の都で悪名高き盗賊多襄丸(三船敏郎)が山中で侍夫婦の妻(京マチ子)を襲い、夫(森雅之)を殺害したという。だが、検非違使による調査が始まると、盗賊と妻の証言はまったく異なっており……。

1944年、アメリカ。12歳のジョニーは兄のジャックと共に両親の畑仕事を手伝っていた。しかし、一家の貧しい生活は一向に楽にならず、父は酒に溺れる日々だった。そんなジョニーの心のなぐさめとなったのは、兄ジャックの優しさと、ラジオから流れてくるゴスペルやカントリー音楽だった。ある時、最愛の兄が突然の事故でこの世を去ってしまう。出来のいい息子を失ったショックでますます荒れる父親とジョニーとの確執は広がっていく。そして、空軍に入隊したジョニーは実家を離れ、ドイツに駐屯する。除隊後に初恋の女性ヴィヴィアンと結婚、子供も授かった。訪問セールスの仕事の合間に友人とゴスペル・バンドを組んで音楽を楽しむジョニーだったが、家計は苦しく、徐々に夫婦の仲も冷え切っていく。 そんなある日、ジョニーは街角で偶然見かけたレコード会社で、オーディションの機会を得る。そこで空軍時代に書いた囚人の心の叫びとも言える歌を熱唱し、その実力を認められる。そして瞬く間にプロのミュージシャンとしての第一歩を踏み出すことになった。早速、同じレコード会社のジェリー・リー・ルイスやエルヴィス・プレスリーらと全米中をツアーでまわっていた時、ジョニーは少年時代からの憧れだったジューン・カーターと出会い、すぐに意気投合する。この出会いが、これからの彼らの長い運命の始まりとなるのだった……。

スラムで育った少年がサッカーに目覚め、ブラジルをW杯で優勝させることを決意し、“サッカーの王様”と呼ばれるまでになるまでを描いたスポーツ・ドラマ。20世紀最高のサッカー選手と称される、ペレの人生を家族愛とともに綴っている。

江戸末期、ペリー来航に震撼した日本の片隅で、新しい時代の到来を敏感に察知した若き二人の青年武士が全速力で駆け抜ける― 五代才助(後の友厚、三浦春馬)と坂本龍馬(三浦翔平)。二人はなぜか、大勢の侍に命を狙われている。日本の未来を遠くまで見据える二人の人生が、この瞬間、重なり始める。攘夷か、開国か―。五代は激しい内輪揉めには目もくれず、世界に目を向けていた。そんな折、遊女のはる(森川葵)と出会い「自由な夢を見たい」という想いに駆られ、誰もが夢見ることのできる国をつくるため坂本龍馬、岩崎弥太郎(西川貴教)、伊藤博文(森永悠希)らと志を共にするのであった―

UCLAの学生で詩の才能を高く買われていたジム・モリソン。ロックバンド・ドアーズを結成すると「ハートに火をつけて」が大ヒット。やがてカリスマ的な存在となるも、パフォーマンスがわいせつと非難されるように。恋人のパメラはそんな彼の奇行を心配し…。

ココ・シャネルやクリスチャン・ディオールと並び称されるフランスのファッションデザイナー、イヴ・サンローランの伝記ドラマ。若くしてファッション界の寵児(ちょうじ)として活躍する裏で、孤独と重圧に押しつぶされそうになっていた彼の素顔に迫っていく。 1953年、パリ。亡きクリスチャン・ディオールの後継者として関心を向けられるファッションデザイナー、イヴ・サンローラン(ピエール・ニネ)。デビューを兼ねた初コレクションを成功させた彼は、21歳にしてファッション業界の天才としてあがめられる。そんなイヴとディナーで出会ったピエール・ベルジェ(ギョーム・ガリエンヌ)は、その才能に惹(ひ)かれると同時に恋をする。ベルジュは仕事でもプライベートでもパートナーとしてイヴを支え、彼の名を冠したブランドを一緒に立ち上げてファッションの革命をもたらしていく。