くしくも同じ日に母親となった2人の女性がたどる数奇な運命をP・アルモドバル監督が鮮烈に描き、主演のP・クルスが第78回ヴェネチア国際映画祭で女優賞に輝いた秀作。 写真家のジャニスは、法人類学者のアルトゥロに、スペイン内戦中に殺害されて集団墓地に埋葬された親族の遺骨の発掘を依頼。それを機に既婚者である彼と親密な仲になったジャニスは、やがて妊娠し、病院で女児を出産する。ところが後日、DNA鑑定をしてみた結果、赤ん坊はジャニスの子でもアルトゥロの子でもないという意外な事実が判明。実はその子は、同じ日に同じ病院で出産した若きシングルマザー、アナの娘だった……。
1930年代後半のスペイン。ヒトラー率いる左派ファシズムとスターリン側の右派共産主義に別れ第二次世界大戦の代理戦争となる内戦が開始されていた。父を共産主義者に殺された青年マノロは神学校を辞め、左派ファシズムのスパイに転進を図る。幼馴染のホセマリアは心から彼を案じ、神の道に進む決意を新たにする。マノロは、共和国側の革命を目指す若者が集まる演説会場に出向き、若き指導者のオリオールと美しいハンガリーの娘、イルディコと親交を深め 人民戦線の民兵として潜入に成功、激しい前線を命を削りながら戦う日々を送る。しかしそれは憎しみから出る信念なき戦いであった。一方、ホセマリアは、神父として民の心の支えになって生きていたが、内戦をきっかけに激しい反宗教的迫害にあっていた。しかし右派から命を狙われても、自らの信念を曲げず地下に潜り信仰を続ける日々を送っていた。まるで正反対の人生を歩む2人だったが、激しくなる戦火の中、複雑に運命は絡み合い遂に命を狙う側と狙われる側として再会してしまう。