パンクバンド“ブラスト”のヴォーカリスト・大崎ナナと、恋人・章司を追いかけて東京へ向かおうとしていた小松奈々。同い年、同じ名前のふたりが出会ったのは、上りの新幹線の中だった。クールなナナとキュートな奈々、見た目や性格は違うけどすっかり意気投合したふたりは、河を望む古いマンションの一室で共同生活を始めた。数日後、ギタリストのノブとドラマーのヤスが、新曲を携え上京して来た。新メンバーにベースのシンを加え、活動を再開するブラスト。ナナは、歌に賭ける気持ちを燃やす。一方、奈々はつれない章司に不満を募らせていた。実は、章司は思い込みの激しい奈々に疲れ、同じバイト先で知り合った大学の同級生でもある幸子に心変わりしていたのだ。彼は、奈々の目の前で幸子を選ぶ。傷心の奈々に、人気バンド“TRAPNEST”のライヴ・チケットが届いた。そのギタリストであるレンが、かつてブラストのメンバーでナナの恋人だったことを知った彼女は、ナナを誘ってライヴに出かける。レンが引き抜かれバンドを脱退した時に、愛し合いながらも別れた筈のナナとレン。しかしライヴ当日、再会を果たしたふたりは愛を再燃させるのであった。それから暫くして、奈々がバイトをクビになった。落ち込む彼女に、ナナが用意してくれたプレゼント。彼女は、奈々の大ファンであるTRAPNESTのヴォーカリスト、タクミを部屋に招いてくれたのだ。――20歳を過ぎ、甘えてばかりいられない現実の中で、とびきり甘い夢を見せてくれたナナ。それは、奈々にとってとても幸福な初恋みたいな時間だった。

家族ともうまくいかず、世の中のものすべてが無意味に思えて家を出た若者たち。自らを「T.R.(The Rejected=拒否された脱落者)」と呼ぶ彼らは、さらなる仲間を求めて夜ごと集まり、パンクロックに酔いしれる日々を過ごしていた。そんなT.R.たちを嫌悪し、街から排除しようとする住民たちとの間には深い亀裂と対立が生じ、次第に若者たちは追い詰められていく。激しいパンクロックとともに自らのアイデンティティを模索するT.R.たちは、やがてやり場のない怒りを爆発させる。 キャストには、俳優ではなく多くが実際のパンクスの若者たちを起用。2022年、製作から39年を経てデジタルニューマスター版で日本劇場初公開。