“あの光の中に、行ってみたかった”。高1の夏に離島から家出し、東京にやって来た帆高。だが生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高はひとりの少女と出会う。ある事情を抱え、弟と2人で明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。彼女には不思議な能力があった。

常人離れした知能指数を持つが日常生活には順応できない男、マックス・コーエンは自作のスーパーコンピュータを用いて日々株式市場の予測を行っていた。「世界に存在する事象のすべてはそれぞれ一つの数式で理解できる」と信じる彼の前に、ある日コンピュータが巨大な数字の塊を吐き出した。216桁のその数字には、かつて円周率 (π) を研究していたマックスの師ソルも辿り着いていた。彼はその日を境に216桁の数字が持つ不可思議な魔力に取り付かれていく。

ニッキー(ローラ・ダーン)とデヴォン(ジャスティン・セロー)は、映画監督のキングスリー(ジェレミー・アイアンズ)が手掛ける映画に出演することになる。その作品は、ある秘密を抱えており、主演女優のニッキーは役にのめりこむにつれ、次第に役柄と私生活を混同し始めるようになる。

監獄の中、雑居房のひとつで、1人の少年が渾身の力を込め、1人の青年の首を絞めた。犯行を発見した看守たちに取り押さえられた少年は「ぼくがやりました!」と叫び続ける。この殺人事件を捜査し始める、警部(石橋蓮司)と警部補(遠藤憲一)。加害者と思われる少年は有吉淳(松田龍平)。ゲイバーで働いていた有吉は、男客から性的暴行を受けたことから逆上し殺害に及ぶ。被害者の青年は香月史郎(安藤政信)。幼い頃から様々な罪を犯し、最終的には路上で人を殴り殺した。偶然にも有吉と香月は同日に、この刑務所に投獄されている。誰にも心を開かない有吉と、気に入らないとだれかれ構わず殴り倒してゆく凶暴な香月。正反対のタイプにも関わらず、香月は有吉を守り、2人の間には濃密で暖かい空気が流れていた。そして、捜査線上に浮かび上がるもう1人の男。それはこの刑務所の新所長(石橋凌)。ぞっとするような笑みをたたえながら、恐ろしく優しい口調で話しかけるこの所長は、かつて自分の妻を香月に暴行され、結果妻は自殺するという壮絶な過去を持っていた。誰が真実を告げているのか? そして、「ぼくがやりました!」と叫び続ける有吉の真意とは……。

1994年10月、モンゴメリー大学映画学科に所属する3人の大学生がドキュメンタリー映画製作のためにメリーランド州ブラック・ヒルズの森に分け入った。その土地に今なお残る伝説の魔女“ブレア・ウィッチ”をテーマにしていたのだ。だが3人はそのまま消息を絶つ。手掛かりが発見されないままやがて捜索は打ち切られた。しかし事件から1年後、彼らが撮影したものと思われるフィルムとビデオが森の中で発見される……。