いつも屋根裏部屋でひとりで絵を描いて遊んでいる少年イカールは、ママと二人暮らし。パパが“若い雌鳥(女性)”のもとに去ってしまってから、ママはビールを飲んでは怒ってばかり。ある日、いつものようにビールの缶でタワーを作って遊んでいる時、ママは不慮の事故に遭い、帰らぬ人になってしまう。事故を担当した警察官のレイモンは、ママがつけた“ズッキーニ”という愛称を大切にしているイカールを不憫に思いながらも、孤児院「フォンテーヌ園」に連れていく…。

1960年代の保守的な家庭で、5人兄弟の4男として育ったザック。「特別な子」と呼ばれた彼は、軍で働き音楽を愛する父親と過保護気味の母親、それぞれ文武に秀でた兄2人、問題だらけの次男を観察しながら幼少期を過ごす。やがて思春期に足を踏み入れる1970年代。ザックは同性に惹かれ始めた自らのアイデンティティと、男らしくあれという父親の価値観の間でもがくようになる。

ニール・ジョーダン監督による、1970年代ミュージックをちりばめた人間ドラマ。女の子の心を持ったまま生まれたパトリックが、変わり者のレッテルを貼られながらも前向きに成長し、ロンドンで実母を探すストーリーだ。

人気漫画家のホールデンは、共同作家であり親友のバンキーと、作品を出品するためコミックマーケットへと出向く。そこで出会ったのが、駆け出しの漫画家であるアリッサ。快活でチャーミングな彼女にホールデンはひとめ惚れするも、アリッサはレズビアンの女性だった。それでもホールデンは恋心を抱き続け、そんな彼をバンキーは苦々しく見守る。そしてある雨の夜、ホールデンはついにアリッサに想いを告げる。

恋愛カウンセラーでありながら、夫ロブ(ラファエル・バーカー)とのセックスでオーガズムを味わったことがないソフィア(リー・スックイン)。ある日、彼女はカウンセリングを受けに来たカップル、ジェイムズ(ポール・ドーソン)とジェイミー(PJ・デボーイ)の紹介で、ブルックリンにあるサロン“ショートバス”に足を踏み入れる。

フリーでイタリア語の翻訳をしている香山笑子は親の勧めで見合いをすることになった。相手は30歳の医師・岸田睦月。笑子は情緒不安定でアルコール依存症、睦月は同性愛者だったが、それを納得して2人は結婚する。新婚生活がしばらく過ぎた頃、笑子は睦月の恋人・藤島紺に接触しようとする。最初は警戒した紺だったが、ある夜、睦月が帰宅すると紺がやって来ていた。3人の間には、友情とも愛情ともつかぬ不思議な関係ができあがりつつあった。睦月は笑子を好きになっていたが、彼女を抱くことはできず、彼女の親友・瑞穂に笑子に恋人を紹介してやってほしいと言う。それを知った笑子はショックを受けた。紺もまた笑子の方に同情的だった。やがて笑子の両親に、瑞穂を通して睦月が同性愛者であることが知れ渡り、離婚騒ぎになる。笑子は睦月と別れないためにも、人口受精で子供を作ることを考えるが、睦月は猛反対する。関係のバランスの崩れた笑子、睦月、紺の3人は気まずい気持ちのまま夜の街を車で走っていく。途中、笑子がひとり車を降りて夜の闇の中に走り去る。睦月を責める紺。夜明けが来た。倒れるまで走り続けた笑子の前に、睦月と紺の優しい笑顔があった。