ある日、いつもの様に街を散歩していたチャーリーの耳に赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。辺りを見回すとまだ生まれたばかりの赤ん坊が街頭に捨てられている。どうしたものかと抱き上げた彼の目の前に、パトロール中の警官が通りかかった。警官は彼が赤ん坊を捨てにきたと勘違いし、目を光らせている。仕方なく彼は、その赤ん坊を自分のボロ・アパートに連れて帰った。それから5年後--その子はチャーリーの仕事を手伝う程成長していた。
ある日、新進女優イヴ・ハリントンはアメリカ演劇界の栄えある賞に輝いた。だが、彼女がここまで上り詰めるには、一部の関係者たちしか知り得ない紆余曲折の経緯があった。8ヶ月前、田舎からニューヨークへ出てきたイヴは、ひょんなことから憧れの舞台女優マーゴの住み込み秘書となった。するとイヴはこれを皮切りに、劇作家や有名批評家に巧く取り入り、マーゴまでも踏み台にしてスター女優へのし上がっていく…。 監督マンキウィッツ自身による見事な脚本と、名優たちの火花散らす熱演とが融合し、その年のアカデミー賞をほぼ独占する形となった、バックステージものの最高作。田舎からニューヨークへ出、大女優(B・デイヴィス)の付き人となったのを皮切りに、有名批評家に取り入って大女優の代役から一躍、ブロードウェイの寵児にのし上がるヒロインを、A・バクスターがまさに一世一代の体当たり芝居で演じきる。批評家のG・サンダースも、いつになく繊細な役柄を的確に表現し、オスカー助演賞を得た。まだ無名の頃のモンローが顔を出している。
テリーは元ボクサーだが、落ちぶれた今は波止場で荷役をする日雇い労働者であった。テリーがボクサーをやめることになったのは、ギャングの一味である兄のチャーリーの指示で八百長をやってしまったからだったのである。 不幸にも、八百長試合の相手のウィルソンはタイトル戦に挑戦するまでのボクサーになった。 テリーはある日、地元のギャングであるジョニーの命令で、古い友人を呼び出し、結果的に殺害に関与してしまう。
第1次大戦がはじまってまもない、ドイツのある町。群衆の歓声に送られて、戦場へ向かう大部隊が進軍してゆく。学校の教室では、老教師が生徒に愛国心を説いていた。情熱に駆り立てられた若者たちは、ただちに出征を志願するが、前線は飢えと死の恐怖だけの毎日だった。
中年男アイザックはTVライターとしては売れっ子だったが、シリアスな小説に転向しようと産みの苦しみの最中。彼は粋なレストランで友達とダベっている。共にテーブルを囲むのは大学教授のエールと妻のエミリー。そして現在、彼が同棲中の17歳の高校生トレーシー。どちらかと言えば彼女の方が夢中で、これ以上深みにハマるのを彼は恐れている。そしてある日、彼はMOMAを見物中のエールが連れていた浮気相手のメリーに恋をする…。
ピューリッツァー賞に輝いたテネシー・ウィリアムズの同名戯曲を、名匠エリア・カザン監督が完全映画化。妹を訪ねてやってきた女性が、彼女を嫌う妹の夫によって暗い過去を暴かれ、精神的に病んでいくさまを描く。
貧しい大学生ミシェルは、ふとしたきっかけで、自分にスリの才能があることを発見する。一度は刑事に捕まったものの、証拠不十分で釈放されるや、再び他人の財布を狙い出す。やがてその手口は、仲間を引き込んだ組織的なものになっていった……。「抵抗」では“脱獄”をリアルにスリリングに描いたR・ブレッソンが、今度はその焦点を“スリ”に当てた作品で、実際の手口を紹介しながら、人間不信の孤独な青年の姿を描く。素人ばかりの出演者から生まれるリアリティと、様々なスリの描写によって生み出されるサスペンスが混然となった迫真の傑作だ。