平安時代、羅生門の下で雨宿りをする下男(上田吉二郎)相手に、旅法師(千秋実)と杣売り(志村喬)が奇妙な話を語り始める。京の都で悪名高き盗賊多襄丸(三船敏郎)が山中で侍夫婦の妻(京マチ子)を襲い、夫(森雅之)を殺害したという。だが、検非違使による調査が始まると、盗賊と妻の証言はまったく異なっており……。

巨匠・黒澤明監督が手がけた戦国スペクタクル巨編。武田信玄の影武者として生きた男の悲喜劇を荘厳にして絢爛な映像で描く。戦国時代。家康の野田城攻めの折り、鉄砲で撃たれこの世を去った武田信玄。弟信廉は信玄死すの報を打ち消すため信玄の影武者を立てる。男は盗みの罪から処刑されるところを信玄と瓜二つだったことから助けられたのだった。だが男にとって戦国の雄・信玄として生きることはあまりにも過酷だった……。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞。

15年の勤めを終えて、久しぶりに大川組に戻ってきた準次。世の中はすっかり変わり、小学生が株を転がす時代。 携帯電話も使えない任侠男、準次の新たなシマは、借金のカタに押さえたミニFMだった。非常に頼りない子分の太郎を連れて、困惑しながら小さなラジオ局「FM89.3MHz」に向かう。するとそこには、萌え系アイドル、ゆかタンが一人でラジオを続けていた―。 赤字続きで、存続の危機にある「FM89.3MHz」。準次は歌舞伎町にいる、昔の仲間にスポンサーを頼む。ある日の本番直前、DJのゆかタンは時間に間に合わなくなり、スポンサーのため仕方なく準次がDJをやる事に。戸惑う準次と、取り乱す太郎。ドタバタしながら番組は進み、準次は本音を連発。すると、準次は歌舞伎町で話題となり、遂にはゆかタンと二人でDJをやる事に。番組内で抗争中の組同士を手打ちにしたり、人生相談に乗ったりと人気を博していく。新宿では大川組若頭の川端が、ご法度のシャブを売っている。それ知った準次の元に、命を狙う黒い影が近づく…。

紙幣偽造のデータを手に入れた娼婦のグリコは、中国系移民のヒョウたちとニセ札造りを始めた。ライブハウスを買い取り、歌手として有名になっていく彼女だったが……。近未来の架空の都市“円都(イェンタウン)”を舞台に、若者たちの姿を描いた作品。

ボタン会社の経理課課長として、優しい妻やちょっぴり生意気だが可愛い一人娘にも恵まれ、念願だった一軒家も手に入れて、仕事や家庭に何の不満もない杉山正平。しかし、彼には満ち足りない何かがあった。正平は、ある日の会社の帰り、電車の中から見えるダンス教室の窓に、物憂げに佇むひとりの女性岸川舞を見つける。その美しさに目を奪われた彼は、数日後、そのダンス教室を訪れ社交ダンスを習い始めることに。 ほんの「スケベ心」から、家族にも会社にも内緒でダンスを習い始めた正平であったが、社交ダンスの魅力と会社の同僚青木富夫やプライドの高い高橋豊子、有閑マダム然としたたまこ先生といった個性的な仲間との交流を通じて純粋にダンスにのめり込んでいく。また、ある事件から最初は正平に心を閉ざしていた舞であったが、正平のダンスへのひたむきな姿を見るうちに、だんだんと心を開いてゆき、自らの心の傷も癒えることを覚える。一方、正平の妻は急に帰宅が遅くなったことに、浮気しているのではと心配し探偵を雇い正平の身辺調査を始める。 舞らの後押しで正平は豊子とペアを組んで東関東アマチュアスポーツダンス大会に出場することとなり、観衆の前で猛特訓の成果を披露することとなるのだが…。

ビデオ制作会社を経営している青山は7年前に妻を亡くし、ひとり息子に再婚でもしたらどうかと勧められていた。ある日、青山の友人の吉川が映画制作のオーディションと称して、応募してきた中から再婚相手を探すことを提案する。応募書を見ていると青山はひとりの女性、山﨑麻美に興味を持つ。オーディションで麻美と直に会い、加速度的に魅了される青山。しかし吉川は麻美の周辺の人物と連絡がつかないことから、違和感を感じていた。麻美との出会いによって青山は究極の恐怖体験を知る事になる。

夫の一浩とともに銭湯を営んでいた双葉は、夫の失踪とともにそれを休み、パン屋店員のバイトで娘の安澄を支えていた。ある日職場で倒れた彼女が病院で検査を受けると、伝えられたのは末期ガンとの診断であった。2~3カ月の余命しか自分に残されてはいないと知り落ち込む双葉だったが、すぐに残されたやるべき仕事の多さを悟り立ち上がる。

死が予定されている人の前に現われて相手を7日間観察した後、その死を“実行”にするか“見送り”にするかの判定を下す、死神の千葉。雨男の彼は今まで晴れた青空を眺めたためしがない。そんな彼の今回の観察相手となるのは、27歳の薄幸なOL、藤木一恵。ある電機メーカーで苦情処理係をする彼女は、最近あるクレーマーからの執拗な電話に悩まされていた。そんな彼女にほだされた千葉は、珍しく“見送り”の判定を下すが……。

山戸結希監督が企画・プロデュースを務め、自身を含め80 年代後半〜90 年代生まれの新進映画監督、総勢15 名が集結。“自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること”を共通のテーマとして、各監督が8 分以内の短編で表現するオムニバス作品。

離婚調停中であり、娘の郁子の親権を夫邦夫と争っている淑美は生活を立て直そうと、郁子と一緒に新しいマンションに引っ越す。しかし、そこは雨漏りが酷い、水道水が不味い、上階の子供の足音がよく響くなど不具合が多く、また彼女は何か不穏なものを感じていた。 ある日、淑美は屋上で、赤い子供用バッグ(mimikoバッグ)を見つけ、それがきっかけで郁子と同じ幼稚園に通っていた少女・河合美津子が2年前から行方不明になっているのを知る。美津子は父と共に、淑美たちの真上の部屋に住んでいて、行方不明になったときには似たバッグをかけていた。 バッグは落とし物としてマンション管理人に届け、捨てられたことを確認するが、後日また屋上で同じものが見つかった。娘の郁子はバッグが気になるようで、また、見えない女の子と会話する奇行が見られるようになった。淑美は、美津子の霊が郁子を連れ去ろうとしているのではないかと恐慌に陥り、一度はマンションを出る決意する。

同じ孤児院で育ち、深い絆で結ばれつつも離ればなれになってしまったシュウとミズキ。そして大人になった2人は、それぞれスナイパーとして裏街道を生き続けていた。 前作同様、哀川翔と竹内力の2大スターを主演に据えた、三池崇史監督のバイオレンスアクションである。しかし本作では、話題騒然となった前作のような、とてつもないラストを期待する観客を、あえて落胆させるかのようなノーマルな展開だ。逆に、三池監督らしいひねくれぶりといえよう。とはいえ、今回もキテレツで猥雑な魅力にあふれたバイオレンスシーンはたっぷりある。天使の羽をつけた主人公2人の勇姿や、謎の殺し屋3人組のキャスティングなど、実は前作以上に遊び心満載の快作である。

新宿のプラットホーム。楽しげにおしゃべりをする女子高校生の集団。電車がホームに入ってきた瞬間、彼女たち54人の女子高校生たちは手をつないだまま飛び降りた。同じ頃、各地で集団自殺が次々と起こり始める。“事件”なのか“事故”なのか、迷う警察。そんな中、警視庁の刑事・黒田のもとに次回の集団自殺を予告する電話が入る。本格捜査に切り替え、集団自殺をくい止めようとする黒田たちの奮闘も虚しく再び都内のあちこちで壮絶な連鎖自殺が続発する。そして、落胆し帰宅した黒田を待っていたのは凄惨な家族全員の自殺現場だった…。

 ホラー映画への出演が続く女優・原瀬京子はこの日、関わった者たちの悲惨な死や行方不明が後を絶たない“呪われた家”をレポートするテレビの特番にゲスト出演した。そしてその夜、フィアンセ・将志の車に乗り家路につく京子。だがその道中、彼の車は首都高速で猫を轢いてしまう。将志は猫の死体を処理せずに車を発進させるが、その時、車内には不気味な存在が紛れ込んでいた。その刹那、車は壁に激突して大破。将志は意識不明の重体に陥り、妊娠していた京子も重傷を負って流産してしまうのだった…。

女子大生・中村由美(柴咲コウ)の友人でもある岡崎陽子や河合ケンジが、謎の死の予告電話によって次々と不可解な死亡を遂げていく。その死の予告電話の内容は、なぜか未来からの発信時刻で来ており、死ぬ瞬間の声や映像、画像が送られてきてその未来の時刻に差し掛かったとき、その通りに死んでしまうのである。 新たに死の予告電話を受けた小学校からの幼馴染みの友人・小西なつみ(吹石一恵)を救うため、由美は謎の男・山下弘(堤真一)の協力を得て事件の真相を追うが、彼女も今までと同様に予告通り、テレビの生放送中に悲惨な死を遂げてしまう。そしてその直後、遂に由美自身が「死の予告電話」を受けてしまう。

女優を目指し、日々舞台の稽古に励む貞子。そんな中、劇団の看板女優が怪死を遂げ、次の公演の主役に新人の貞子が抜擢される。稽古場ではその後も怪現象が続き、貞子のせいだと噂が立つ。そんな貞子を音響担当の遠山だけがかばう。一方、新聞記者の宮地は密かに貞子の過去を探っていた。婚約者を貞子の母・志津子の超能力の公開実験で失った彼女は貞子への復讐に燃えていたのだ……。

スクープ雑誌「明潮24」に東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤から手紙が届く。記者の藤井は上司から須藤に面会して話を聞いて来るように命じられる。藤井が須藤から聞かされたのは、警察も知らない須藤の余罪、3件の殺人事件とその首謀者である「先生」と呼ばれる男・木村の存在だった。木村を追いつめたいので記事にして欲しいという須藤の告白に、当初は半信半疑だった藤井も、取材を進めるうちに須藤の告発に信憑性があることを知ると、取り憑かれたように取材に没頭して行く。

秋子は松永という男性を追い掛け、ウラジオストクを訪れる。ようやく極東の街で念願の相手と再会を果たすものの、向こうは彼女のことなどきれいさっぱり忘れていた。ある日、斉藤が経営する小さな食堂で働きながら松永の行方を探していた秋子のもとに、ようやく情報が入ってくる。

・事件・から一週間、井戸の中から発見された貞子の死体が解剖された。ところが、30年前に殺された筈の彼女の遺体は、解剖の結果、少なくとも死後1年ないし2年しか経っていないことが判明する。すると、貞子は30年近く井戸の中で生きていたことになる! 遺体の身元確認にやってきた貞子の母・志津子の従弟・山村敬は、思わず貞子の怨念のすさまじさに戦慄を覚えるのだった。

幼い息子を死なせて以来、自殺ばかりを考えている解剖医・安藤。ある日、彼は謎の死を遂げた高山竜司の解剖を担当することになった。安藤と竜司は学生時代の同級生だった、竜司の体を解剖した安藤は彼の胃の中から暗号の書かれた紙片を見つける。それは安藤たちが学生時代に流行った遊びで、彼は「DNA PRESENT」という言葉を読み取るのだった。そんな折、玲子が車の事故で息子の陽一と共に死んだという情報が安藤に入っ...