奇妙な殺人事件が立て続けに発生していた。それぞれの事件の犯人につながりはないが、犠牲者の首から胸にかけてがX字型に切り裂かれていること、いずれの加害者も事件直後に犯行現場付近で逮捕されること、そして犯行の直前まで犯人に明確な殺意がなかったことが共通していた。やがて、一連の事件に関連のある人物として記憶喪失の放浪者、間宮が浮かび上がる。マインドコントロールによる猟奇殺人を描くサイコサスペンス。

獣医のビョンスはアルツハイマーで元連続殺人鬼という顔を持ち、日々の出来事を“録音”することを習慣に過ごしていた。ある日、接触事故を起こし謎の男テジュに出会う。その目つきに彼もまた殺人犯だと確信し、警察に通報するがまともに取りあってもらえない。やがてテジュはビョンスの愛娘ウンヒの彼として目の前に現れる。ビョンスは1人でテジュを捕らえようとするが、アルツハイマーにより記憶は途切れ混乱していく。そうしてまた始まった連続殺人事件…。これはヤツの仕業なのか?

生化学者・永島利明は事故死した妻・聖美(きよみ)の肝細胞の培養を始める。それは、聖美を生き続けさせるためだった。順調な増殖を示す聖美の肝細胞。中でもミトコンドリアの増殖は異常ですらあった。時を同じくして聖美から腎臓の提供を受けた少女、真理子の身体にも異変が生じていた。全ては10億年前に人類の体細胞に侵入し、寄生という形の共存を続けてきたミトコンドリアの、新たな生命体への進化を目的とした計略だった。

実業家が愛人宅の浴槽で惨殺された。現場から逃げていく不審な人物が目撃されており、その男の自宅からは狙撃用の的とライフルの薬莢が発見されていた。そして男が10年前にその実業家の元で働いていた事、同じ頃男の妻が精神障害に陥っている事、その妻が先日事故死している事などが判る。ベックは愛人マリアから男と実業家の関係を聞き出すが、そこには10年前に製作されたポルノ映画の存在があった。そしてその映画に関わっていた最後の人物は、今では人気歌手となっており、ストックホルム・マラソンに出場するところであった……。原作は『テロリスト』。