カメラマンのジェフは足を骨折し、ニューヨークはグリニッチ・ヴィレッジのアパートで療養中。身動きの取れない彼にとって退屈しのぎの楽しみは、窓から見える中庭と向いのアパートの住人たちを眺める事だけ。だが、その中で、セールスマンの夫と激しい口論をしていた病床の妻の姿が見えなくなった事に気づいた。セールスマンの様子を窺う内に、ジェフはその男が女房を殺したのではないかと推測、恋人のリザと看護人ステラの協力を得て調査を始めるのだが……。
限定された状況をきわめて映画的なドラマに作り替える名人、E・スコラの、鮮やかな手並みが鑑賞できる作品である。ムッソリーニ支配下のローマで、アパートの住人全てがファシスト集会に出向いた後に残された主婦と、官憲に追われそこに忍んでいた反ファシストの男の、一日だけの恋を描く。ほとんど密室劇に近い内容だが、アパートの外観の取り入れ方が、ヒッチコックの「裏窓」を思わせて見事である。
恋人に振られ傷心のヨーンがある日仕事から帰宅すると、隣室の美人から家具を動かしてほしいと声を掛けられる。彼女は姉妹で住んでいて、初対面にもかかわらず彼の日常を把握しているかのごとく謎めいた発言を繰り返し、姉アンネの留守中、暴行された過去を持つ妹キムはヨーンを誘惑。姉妹の不可解な言動に振り回され、ヨーンの日常はゆがみ始めていく。
出版社のウィル・エイテンテンは、ニューヨークの雑誌編集の仕事を辞め、妻のリビーと娘たちとニューイングランドの趣のある町に引っ越しをした。家族が落ち着いたころに、エイテンテンはその家で過去に妻と子供たちが殺される惨殺事件が起き、その容疑者である夫は街のどこかにいるという。殺害された家族の近くにいた隣人の助けを借りて、ウィルは恐ろしい出来事の連鎖をつなぎ合わせていく。
頑固で偏屈な男のもとへ疎遠の息子がやって来た。娘を預かって欲しいと言うが、初対面の孫を引き取るにも、マイペースで生きる男には手助けが必要で…。