グラントとフィオナは仲むつまじい老夫婦。だがフィオナがアルツハイマーと診断され、養護施設に入ることとなり……。女優サラ・ポーリーが脚本も手がけて送る初監督作品は、認知症を真正面からとらえた愛の物語。

ここは、東京杉並の古い洋館。刺繍作家の牧田佐知(中谷美紀)と気ままな母・鶴代(宮本信子)、佐知の友人で毒舌な谷山雪乃(永作博美)と雪乃の後輩でダメ男に甘い上野多恵美(吉岡里帆)の4人が暮らす。同じ敷地内に長年住み続ける謎の老人・山田一郎も交わり、笑いと珍事に事欠かない牧田家の日々。そこに多恵美の元カレでストーカー化している本条宗一の影が迫り…。さらには、佐知に恋の訪れか!?そして、洋館にある“開かずの間”を開けたことをきっかけに、平穏な日常がにわかに変化して…。家族のようで家族でない人々の、奇妙で不思議でかしましくも和やかな日々の物語。

天才ポール・トーマス・アンダーソン監督による70年代青春ストーリー。子役として活躍する高校生が、カメラマンの女性アシスタントに一目惚れ。それぞれに影響し合い、距離を縮めるが、次第にすれ違い始めて……。

16世紀末のロンドン。スランプに陥っていた劇作家シェイクスピアはオーディションにやって来た一人の若者トマス・ケントを追ってとある屋敷へたどり着く。そこには以前、芝居の最中に目を留めた美しい女性ヴァイオラの姿があった。シェイクスピアと彼を信奉するヴァイオラはたちまち恋におちてしまう。燃え上がる恋心が創作意欲をかき立てたのか、シェイクスピアの台本は急ピッチで仕上がって行き、トマス・ケントを主役とした芝居の稽古も順調に進んでいた。ヴォイオラの別れの手紙をトマスから受け取ったシェイクスピアは納得できず再びトマスの後を追うのだが、そこで彼はトマスこそヴァイオラの男装した姿だった事を知るのだった。

仕事一筋のエリート広告マン、ネルソンは、自動車免許の更新に出掛けた際、風変わりな女性サラと出会った。サラは“11月の1カ月間だけ恋人にならない? 私は不幸な男性を救う能力があるの”と思いがけない提案を申し出る。最初は冗談だと思ったネルソンだが、彼女とのんびりした時を過ごすうち、今までの自分が過ごしてきたむなしい生き方に気付く。いつしか彼はサラを本気で愛するようになるが、彼女はある秘密を抱えていた。

17歳のブルジョアの少女が父レイモンに新たに出来た恋人アンヌ(カー)が母となる現実を受容できず、それまでの若い愛人エルザ(ドモンジョ)と共謀して、父と彼女との仲をアンヌに見せつけて別れさせようとする。ところが絶望に車を駆って去るアンヌは運転を誤って崖から落ちて死んでしまう。一年前の出来事だった。今は陽光明るい夏のリヴィエラにいても、少女の世界は晴れることなどないと思われる惨めな悲しみに満ちていた。

主人公ハックはポーカー世界大会で2度優勝する腕前を持つ父親を尊敬できないでいた。家族を捨て常にポーカーの虜となっていた父。しかし気付いてみれば彼も各地のポーカーテーブルで稼ぐプロのポーカープレイヤーとして日々過ごす存在となっていた。ある日友人の妹ビリーと知り合い惹かれあうが、彼女のなけなしの金を黙ってポーカーの種銭として使ってしまい愛想をつかされてしまう。 ポーカーの騙し合いの日々の中でハックはビリーが自分にとって心許せる特別な存在である事に深く気付かされるのだが、彼の中のポーカープレイヤーとしての葛藤や父親との確執に悩み続ける。そんな中ハックは、ラスベガスで開かれる世界最大のポーカー選手権出場が決まる。大会には3度目の優勝を狙う越えられない存在である父親も対戦相手として名乗りをあげていた。ビリーのいない中、ハックの孤独な勝負が始まる。