イタリア映画界が生み出した早熟の天才監督として世界中から注目を浴びていた、当時まだ29歳のベルトルッチ監督(「ラストエンペラー」)が、A・モラヴィアの原作を鮮烈なタッチで映画化。忌まわしい過去の悪夢を葬るため、ファシズムに追従して生きる道を選んだ主人公の運命を、光と影、色彩の綾をなす官能的な映像美を通し、全編スタイリッシュに描写。撮影の名手V・ストラーロの絶妙のカメラワーク、主演のJ=L・トランティニャン(「愛、アムール」)の熱演、若きD・サンダのクールビューティーぶりも必見。 13歳の時、友人にいじめられているところを救ってくれた同性愛者の青年に拳銃を発射して逃げ去るという体験をして以来、罪の意識を抱いて大人に成長したマルチェロ。哲学講師となった彼は、けっして異端者になるまいと決め、祖国のファシズム体制に付き従い、プチブルの娘ジュリアと婚約を交わして平穏に過ごすが、ファシスト党から、かつての恩師でパリに亡命したクアドリ教授ら反ファシスト組織の動きを探るよう命じられ……。
クレオ(コリンヌ・マルシャン)はブロンド髪の美しい娘。が、最近クレオは悩んでいる。体の具合が悪いのだ。もしガンだったら……と思うと、いてもたってもいられない。先日、彼女は病院で精密検査を受けた。結果の出るのは今日の夕刻。クレオはその時刻の来るのがこわかった。五時。クレオは女占師の前に腰をおろす。占師は彼女が病気であることを見透した。
ジュールとジムは、情熱的で奔放な女性カトリーヌに恋をする。ジムへの想いを胸に秘めたままジュールと結婚した彼女だが、ジムとの再会で再び二人に愛の炎が燃え上がる。しかし、小さな食い違いでジムは彼女から離れていく。ある日出かけた河岸で、カトリーヌはジムをドライブに誘い、壊れた橋に向かってスピードを上げた。 三角関係の心理を見事に描いた本作は、ジャンヌ・モローの輝くばかりの美しさが圧倒的な魅力となった一遍。
現代のサンフランシスコ。とある部屋で、マスコミでのし上がろうとする野心的な若者クリスが、漆黒の髪の美青年ルイへインタビューを始めたが、その内容は驚くべきものだった。18世紀末の米ニューオリンズ。フランス移民のルイは当時25歳。最愛の妻と娘を亡くして絶望する彼に、美貌の吸血鬼レスタトが近づく。彼は、人間らしく揺れ動く繊細な魂のルイに興味を覚え、永遠の命を共にする伴侶として彼を選ぶ。
ひと切れのパンを盗んだ罪で、19年の獄中生活を強いられたジャン・バルジャン。仮出獄した彼は改心し、やがて市長にまでなって尊敬を集めていたが……。時代を超えて心を打つ、人間ドラマの名作。
「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」などのヒット作を生んだフランスのジャン=ジャック・ベネックス監督が1981年に発表した長編第1作。 パリで暮らすオペラ好きの郵便配達員ジュールは、レコーディングを拒否し続けているアメリカ人ソプラノ歌手シンシア・ホーキンズのリサイタルを訪れ、高性能録音機で歌声を隠し録りする。翌日、娼婦が2人組の男に殺害される事件が発生。被害者は事件の直前、偶然通りかかったジュールのバイクのバッグに、闇組織の秘密を暴露したテープを隠していた。テープの行方を追う殺し屋と、シンシアの音源を狙う台湾人2人組からも追われる状況に陥ったジュールは、謎めいた男セルジュとベトナム人少女アルバの助けを借りて逃亡するが……。