ゲーテの戯曲「ファウスト」をシュヴァンクマイエルが自ら翻案し映画化した「アリス」に続く長編2作目。実在したとされる魔術師の伝説が独自の解釈によってつづられ、奇妙な生物たちの姿や独特な食事描写などが実写・粘土細工・ストップモーションアニメーションなどを駆使して描かれていく。
『サンタ・サングレ』は、サーカス団長のオルゴとその妻でブランコの名手コンチャと、息子フェニックスの、奇妙な物語である。彼らは、メキシコ・シティーの繁華街にあるグリンゴ・サーカスで働いていた。オルゴは女たらしで、サディスティックでセクシャルな関係を浴していた。現在の相手は“刺青の女”だ。コンチャは、狂信的にある偶像を崇拝していた。それは2人の男にレイプされ両腕を切り落とされサンタ・サングレ(聖なる血)を流した乙女の像である。 フェニックスは繊細で感受性豊かな少年。孤独がちな彼には、刺青の女が連れてくる養女で6歳の少女アルマと、淡くかよいあう感受性の交流があった。しかしアルマは、哀れにも生まれながらの聾唖者だった。 ある夜、オルゴの浮気の現場を掴まえたコンチャが彼の下腹部に硫酸をかける。激怒したオルゴは彼女の腕を切り落とし自らも喉を切って自殺する。この一部始終を目撃したフェニックスは、ショックのあまり精神を病み、施設に収容される。 やがて成長し施設を出たフェニックスは、母親と奇妙な一心胴体芸を生み出す。何かに取り憑かれたようなコンチャの心と、フェニックスの腕が一体となって生まれるフリークス・ショー。コンチャの意志のままに、フェニックスは狂気の母親に代わって、身の毛もよだつような殺人を犯していく。
30年ぶりに実家に帰ってきたアーサー。だがその地下室には一つの腐乱死体が……。そして次々に起こる残虐な事件。また屋根裏部屋で見つかった古文書の謎とは? L・フルチがリアルな特殊メイクを駆使して描くイタリアン・ホラー。