スターリン主義の影響下にあった50年代初頭のユーゴスラビア。薄汚い密告が見境なくはびこり、人々は疑心暗鬼だ。少年マリックの精力的かつ俗物の父親も例外なくその犠牲となる。ふと愛人に洩らした他愛ない国政批判のせいだ。収容所に収監された父を、母は“出張中”と少年に告げごまかすのだった……。<旧ユーゴのクストリッツァがカンヌでグランプリを得た、ユーモアの中に痛烈な体制批判を織り込んだ作品。>
画家であり、小説家でもあるP・リドリーの初監督作品。1950年代、アイダホ。小麦畑の広がる田舎に育った8歳のセスは、ある日友達のイーブンとキムと共に一人暮らしの謎めいたイギリス人女性ドルフィンにいたずらをし、母に叱られて謝りに行かされた。鯨の骨や古いモリが飾られた異様な雰囲気の家の中で、自殺した夫の髪の毛や歯をドルフィンに見せられたセスは、たまたま父が読んでいた本からの連想で彼女を吸血鬼と思い込む。その翌日、イーブンの死体がセスの家の井戸の中から発見された……。
「ハード・プレイ」(1992)のリメイク作品。かつて有望なバスケ選手として活躍していたジェレミーはけがを負ったことが原因でキャリアが停滞していた。同じく将来を有望視されていたカマールは過去の試合中の出来事が原因でアマチュアプレーヤーに甘んじている。ひょんなことからチームを組むことになった2人は最初は反りが合わず衝突を繰り返す。私生活では金銭的ストレスも抱えている2人だが互いの夢を実現するため力を合わせてバスケの大一番に挑む。
メキシコ・シティの市電運転手、ファン・コディネス(カルロス・ナヴァロ)と処理工のタラハス(ドミンゴ・ソレル)の二人は明日解体になる運命のポンコツ列車、133番もろともお払い箱に。気晴しに飲もうと会社のパーティに出かけた二人は酔いにまかせて133番を盗み出し、勝手に走らせてしまう。軽い気持から出た行動だったが、ひょんなきっかけでパーティ会場にいた仲間を食肉解体場にある家まで送ることになってしまい...。
メキシコ、ゲレーロ州海岸地方のある村。三男坊オリヴェリオ(エステバン・マルケス)の結婚式の当日、突然病床の母親(レオノーラ・ゴメス)の容体が悪くなる。欲深い兄達は、息のあるうちに自分たちに都合のよい遺言状を作ろうと必死で、財産の中でも価値の高いメキシコシティの家を狙っている。しかし母親は孫である死んだ娘の子供にその家を譲りたいと思い、一番信頼できるオリヴェリオに法的効力のある遺言状を作って欲しいと頼む。オリヴェリオは代埋人のいる隣町まで、おんぼろバスに乗って出発する。
チリの作家マリア・カロリーナ・Gが恋人を殺害し、裁判所で秘書として働く内気なメルセデスはこの事件に強い関心を抱く。やがてこのふたりの女性の人生が、思いがけない形でつながり始める。