平安時代、羅生門の下で雨宿りをする下男(上田吉二郎)相手に、旅法師(千秋実)と杣売り(志村喬)が奇妙な話を語り始める。京の都で悪名高き盗賊多襄丸(三船敏郎)が山中で侍夫婦の妻(京マチ子)を襲い、夫(森雅之)を殺害したという。だが、検非違使による調査が始まると、盗賊と妻の証言はまったく異なっており……。

封建時代の日本、一族間の血なまぐさい抗争の最中、敗軍の兵士である臆病で強欲な2人の農民が、山中に隠された要塞に案内してくれる謎の男に出くわす。

山岡荘八の長編小説『織田信長』を「百万両五十三次」の結束信二が脚色し「いろは若衆 花駕籠峠」の河野寿一が監督した時代劇巨編。父の死から桶狭間の戦まで、織田信長の半生を描く。 父の葬儀に荒縄を腰に巻いた姿で現れた十六歳の織田信長は、抹香を位牌に投げつけた。世間からは狂人とののしられたが、妻の濃姫だけは信長の頬を伝う涙を見逃さなかった。濃姫の父である美濃の斉藤道三は信長に面会を要求してきたが、信長はこれを拒否し「うつけもの」の仮面をかぶり続けた。しかし最愛の家臣だった平手政秀が自害したことから、信長は一転して面会を受諾、礼装し千人の軍を率いて道三を圧倒した。しかし突然、今川義元が四万もの大軍を率いて尾張領に攻め込んできた。それに対して信長軍はわずか五千。今川軍はすでに桶狭間まで迫ってきていた。

幕末。東北の小藩である海坂藩の平侍であった片桐宗蔵は、母と妹の志乃、女中のきえと貧しくも平穏な日々を送っていた。やがて母が亡くなり、志乃ときえは嫁入りしていった。ある雪の日、宗蔵ときえは3年ぶりに町で再会するが、きえのやつれた表情に宗蔵は胸を痛める。きえが嫁ぎ先で酷い扱いを受け寝込んでいることを知った彼は自宅へ連れ帰り、回復したきえと共に暮らし始める。そんな時、藩に大事件が起きた。宗蔵と同じく藩の剣術指南役・戸田寛斎の門下生だった狭間弥市郎が謀反を企んだ罪で囚われ、さらに山奥の牢を破って逃げ出したのだ。宗蔵は、逃亡した弥市郎を斬るよう家老に命じられる。

将軍暗殺を企て、幕末に戦乱を起こそうとしたのは、いったい誰なのか? そして、龍馬暗殺の真犯人は!? さらに新選組史に残る「油小路の決闘」の真実 が明らかになる! 土方「隊士一同に伝えておけ。坂本に手を出すなと。 あいつを斬るのは俺の役目だ!」 龍馬「いま戦を始めたら、日本はバラバラになるぜよ。 けんど、お互い信じ合えたら、一つになれる!」

幕府献上の五万両強奪事件を追って、ひばりの御存知阿部川町お七と痛快呑んべ浪人が大活躍。絢爛の七変化に唄と笑いとスリルを織り込んで繰り展げる娯楽興趣篇。 唄も踊りも捕物も日本一と噂の阿部川町のお七が、吉例舞踏祭りの舞台で「鷺娘」を踊って楽屋に帰ってきたところで、料亭の用心棒に身をやつした佐々木兵馬が酔った姿で訪れた。お七はその姿を案じて兵馬の帰参を兄の伊予守に願ったところ逆に意見され、翌日藤田屋に兵馬を尋ねたら、三鈴という娘が兵馬の世話になっていることを知る。その夜、見回りに出たお七は女スリお花の殺しの現場に出くわし、死体のそばで太田藩の刻印が彫られた小判を拾う。一方、兵馬も藤田屋を探る覆面の侍を不審に思い切り結んだら、三鈴はその侍は大田藩江戸屋敷詰の佐久間健之進だと告げる。三鈴は大田藩の御用金宰領役の奥田十兵衛の娘で、先日起きた大田藩御用金一万両の強奪に対する責を追って捕らわれた父の罪を晴らすべく、唯一の手がかりである印籠を手に、一味を探っていたのだ。そして、十兵衛の切腹は四日後の朝に行われるという。お七はお花の恋人であった稲妻の三次を見つけて小判の出所を聞きだそうとすると、三次はお花の相棒である女スリお島のところへ案内する。だがそこにはお島の姿はなく、猿若座の座付き役者中村新之丞の手ぬぐいがおかれているだけであった。そして、神田祭の祭礼の留守中に、三鈴は黒覆面の一団にさらわれてしまった。一団が向かった荒れ寺に忍び込んだお七は、仕掛けられた落とし穴に落ちてしまい、そこに「ながさき」の血文字と櫓巴の絵を書き残して死んでいる三次を見つける…。

元老中・水野忠邦と組んだ大奥・姉小路一派は、お家乗っ取りのため、生後すぐ捨てられたという、徳川家定の双子の兄弟を捜していた。一方、それを知った家定の母は、大奥掃除人の四郎に問題の子の発見と始末を命じる。そんな折、老浮世絵師・葛飾北斎が謎の死を遂げ、犯人を捜す主水は、捜査の中で北斎が最後に描いた似顔絵とそっくりな少女・捨蔵を発見する。実は、彼女こそが大奥の二派が血眼で捜す将軍家の落とし種だった。