戦国の世、貧しい陶工・源十郎が若狭姫という女性と知り合い、生活をともにするようになる。だが美しい若狭姫の正体は死霊であった。それを知った源十郎は若狭姫を捨てて故郷に逃げるが、彼女の怨念は執拗に追いすがる……。「雨月物語」をベースに、川口松太郎らが脚色。

幕末の庄内地方。海坂藩の御蔵役を務める井口清兵衛は、夕方に仕事を終えると同僚の酒の誘いも断り真っ直ぐ自宅に帰り、家事と内職にいそしんでいた。認知症を抱える老母と幼い2人の娘の世話、そして労咳で死んだ妻の薬代や葬儀などで嵩んだ借金を返済するためだ。日々の暮らしに追われ、次第に身なりが薄汚れていく清兵衛。同僚の中には、そんな彼を陰で「たそがれ清兵衛」と呼んで小馬鹿にする者もいた。 春、清兵衛は親友の飯沼倫之丞と再会する。倫之丞は妹の朋江が酒乱の夫・甲田豊太郎に度々暴力を振るわれるため、離縁させたことを清兵衛にうちあける。

慶応四年一月。鳥羽・伏見の戦いの大勢は決し、幕軍は潰走を始めていた。そんな中、大坂の盛岡藩蔵屋敷に満身創痍の侍が紛れ込む。かつて盛岡藩を脱藩し、新選組の隊士となった吉村貫一郎であった。保護を求める吉村に対し、蔵屋敷差配役であり吉村の旧友であった大野次郎右衛門は冷酷にも彼に切腹を命じる。 時は流れ、大正4年。北海道出身の記者が、吉村を知る人々から聞き取り調査を行っていた。

勝新を敬愛する高校3年生のハダシ。キラキラ恋愛映画ばかりの映画部では、撮りたい時代劇を作れずにくすぶっていた。そんなある日、彼女の前に現れたのは武士役にぴったりな凛太郎。すぐさま個性豊かな仲間を集め出したハダシは、文化祭でのゲリラ上映を目指すことに。青春全てをかけた映画作りの中で、ハダシは凛太郎へほのかな恋心を抱き始めるが、彼には未来からやってきたタイムトラベラーだという秘密があった――。

江戸末期、ペリー来航に震撼した日本の片隅で、新しい時代の到来を敏感に察知した若き二人の青年武士が全速力で駆け抜ける― 五代才助(後の友厚、三浦春馬)と坂本龍馬(三浦翔平)。二人はなぜか、大勢の侍に命を狙われている。日本の未来を遠くまで見据える二人の人生が、この瞬間、重なり始める。攘夷か、開国か―。五代は激しい内輪揉めには目もくれず、世界に目を向けていた。そんな折、遊女のはる(森川葵)と出会い「自由な夢を見たい」という想いに駆られ、誰もが夢見ることのできる国をつくるため坂本龍馬、岩崎弥太郎(西川貴教)、伊藤博文(森永悠希)らと志を共にするのであった―

勝新太郎が盲目の居合抜きの達人・座頭市を演じ、彼の代表作となった人気シリーズの第1作。博打のツボ振りと居合抜きの達人である盲目の男・座頭市は、下総飯岡の貸元・助五郎の食客となる。市は肺を患う浪人・平手造酒と知り合い友情の念を抱くが、平手は助五郎と対立する笹川一家の食客だった。やがて市と平手は、運命的な対決へと導かれていく。

江戸北町奉行所の同心で、その切れ味鋭い頭脳と精力絶倫ぶりから“かみそり半蔵”との異名を取る板見半蔵。ある日、江戸市中で無宿人狩りが行なわれ、半蔵は、島送りにされていた重罪人の人斬り屋・三途の竿兵衛が島破りをしてどうやら江戸に潜んでいることを知る。竿兵衛の愛人・お美乃を捕らえた半蔵は、自らの男性的魅力で彼女を陥落させて、今回の事件の裏に大奥にまで広がる意外な悪事が秘められていることをさらに知る。

今より千年前、紫式部は宮中の藤原道長からの頼みで道長の娘・彰子の教育係として京の都にやって来る。実は式部には、どうしても京の都で完成させなければいけない一つの物語があったのだ。『源氏物語』と題されたその物語の主人公は桐壺帝の子・光源氏。 容姿端麗にして武芸に秀でている源氏は何不自由のない生活を送っていたが、継母である藤壺中宮への禁断の恋心に苦悩もしていた―。式部はまだ清純な彰子に物語を説いてゆくのだが、ついに物語は源氏が姫君たちとの逢瀬の果てに、藤壺と体を重ねてしまうことになる…。

外国の脅威が迫る幕末の世。安中藩主・板倉勝明は藩士を鍛えるため、15里の山道を走る遠足を開催することに。しかし行き違いによって幕府への反逆とみなされてしまい、安中藩取り潰しを狙う刺客が藩士不在の城に送り込まれる。遠足参加中に藩の危機を知った安中藩士の唐沢甚内は、計画を阻止するべく走り出す。

近ごろ、江戸城のお堀端で女の幽霊が夜ごと出没するという話を聞いて、江戸北町奉行所の切れ者の同心・板見半蔵は、早速調査を開始。幽霊に扮した女を捕まえ、さらには堀の中から小判を詰めた大量の竹槍を発見した半蔵は、きっと何者かがお堀端近くの江戸城の御金蔵から小判を盗み出し、その見張り役として幽霊を仕立てたのに違いないとにらむ。やがて半蔵は、盲目の検校で高利貸しもする石山が、最近妙に羽振りがいいことを知る。