戦後変わりつつある家族の関係をテーマに人間の生と死までをも見つめた深淵なドラマ。故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦。成人した子どもたちの家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯だった。唯一、戦死した次男の未亡人だけが皮肉にも優しい心遣いを示すのだった……。
脚本家のディクソン(ハンフリー・ボガート)はエージェントのメル(アート・スミス)から小説の映画化を引き受けたものの、原作を読む気になれず、その本を読んだクローク係のミルドレッド(マーサ・スチュアート)を自宅に連れ帰って内容を話してもらう。あまりに下らないメロドラマにうんざりした彼は、彼女に金を渡して悪いがタクシーに乗ってくれと言って帰す。翌日の早朝、第二次大戦で彼の部下だった刑事のニコライ(フランク・ラヴジョイ)が尋ねてきた。ミルドレッドが前夜何者かに殺されたのだ。