いちど見たらその個性的なキャラクターゆえに誰も忘れることのできない、戦後の日本映画界になくてはならない貴重なバイプレイヤーとして活躍した殿山泰司。自らを「三文役者」と称し女と酒とミステリ小説を愛しつづけた彼のことを、みなは親しみを込めて「タイちゃん」と呼んだ。1998年4月30日にその生涯を閉じた殿山泰司の俳優人生を長年の同志、新藤兼人監督が映画化したペーソスあふれる感動ドラマ。

英国に貯金されているロシア皇帝の財産を横取りしようと企む将軍ボーニンの、皇女アナスタシアの替え玉作戦を描いたロマン大作。主演のイングリッド・バーグマンは圧倒的な美しさと気品をたたえ、アカデミー賞に耀いた。

スー族の前に全滅した、第七騎兵隊を率いるカスター将軍の半生記。士官学校への入学に始まり、南北戦争を経て、リトル・ビッグ・ホーンで部隊が全滅するまでを描く。 1857年、米国陸軍士官学校に入学したカスターは、開校以来の問題児だったが、戦士としての才能はあった。南北戦争が勃発し、北軍として出兵した彼は、勇敢な戦いぶりでやがて将軍にまで昇進。凱旋したカスターは、恋人リビーと結婚したが、退役軍人の生活に飽き足らず、ダコタのリンカーン砦(とりで)にある第七騎兵隊の指揮官となるが…。

パリ・コミューン崩壊後の1870年代フランス、パリ。新進気鋭の詩人として注目を集めていたヴェルレーヌの元に、一通の手紙が届く。そこには、無名の田舎青年の、衝撃的な詩が書かれていた。そして彼らはパリで出会うことを約束する。列車で上京してきたのは、まだ20歳にも満たないアルチュール・ランボーだった。この美青年は、妻子持ちのヴェルレーヌを惑わし、そして禁じられた愛欲の世界へと導いていった。

「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」を世に生み出した、ロシアの大文豪トルストイ。比類なき文学的才能と家柄、作家としての名声。莫大な印税と多くのものに恵まれた彼はなぜ、82歳で家出し名も無き田舎の駅で客死せざるをえなかったのか。始まりは、彼の残した遺言にあった。トルストイの作品に関する権利を家族ではなくロシア国民に与えるというその内容は、妻ソフィヤとの関係を思いがけぬ方向に導いてゆく…“世界三大悪妻"と名高いソフィヤ。しかしすべては女としてトルストイを愛し、母として家族を守るための行動だった…