<15歳の夏、僕は彼に出会った―>陸上部に所属するシーヘルは、チャンピオンシップ大会に向けて結成された強化チームに選ばれ、同じく選手として選ばれた自由快活で爽やかな少年マークと出会う。ある日、練習の後、友達と泳ぎに出かけ二人きりになったマークとシーヘルはお互いに引き寄せられるようキスをしてしまう。ガールフレンドのイェシカと会っていても、シーヘルの頭の中にはマークが浮かんでばかり。その気持ちは友情なのか愛情なのか自分でもよくわからない。

夫を悲惨な事故で失ったシングルマザーのアメリアは、一人息子のサミュエルと共に暮らしていた。サミュエルは学校でしばしば暴力的な行動を起こす問題児。言うことを聞かない息子に手を焼き、アメリアは疲れ果てていた。一方、サミュエルは、母親の読み聞かせで眠りにつくのが習慣で、その日はアメリアの知らない一冊の本を取り出し、彼女に読んで欲しいとせがむ。どこか薄気味の悪いその絵本は「ババドック」というキャラクターが登場する不思議な本だった。