誰ひとりとして脱獄に成功したことのない刑務所―――アルカトラズ島。ここに一人の囚人が送り込まれた。彼の名はフランク・モーリス。所内で以前、別の刑務所で一緒だったアングリン兄弟と彼は脱獄計画の実行を決める……。あの『ダーティハリー』の名コンビ、ドン・シーゲル監督=クリント・イーストウッドが放つ、873日をかけた脱出作戦を事実に基づいて描く脱獄映画の秀作。

殺人罪に問われた天才ボクサー、ルービン・ハリケーン・カーターは、人種偏見に満ちた裁判で終身刑を宣告される。無罪を主張する彼は獄中で自伝を執筆。その自伝に感銘を受けた少年との出会いを機に、カーターは連邦裁判所で最後の戦いに挑む決意をする。

マンハッタンのミッションスクールに通うジムたちは、バスケットボールに夢中な無垢な不良少年であったが、教師である神父にいじめられたのをきっかけにドラッグを始めてしまい、やがて退学、泥棒、ホームレス、果ては殺人と、彼らを破滅の道へと招いていく…。 ジム・キャロルの実体験にもとづく全米ベストセラー青春文学『マンハッタン少年日記』の映画化。レオナルド・ディカプリオが堕ちていく純粋な少年を迫真の演技で体現している。全体的に乾いたシンプルな演出が施されており、ウェットなセンチメンタルになることを巧みに避けているのが、逆に悲劇のリアリティを高めている。共演もマーク・ウォールバーグなど、後にブレイクした若手俳優が多数出演。(的田也寸志)

ベトナム反戦を主題にしたロック・ミュージカルの映画化。オクラホマから徴兵された青年クロードが、ニューヨークへやってきた。彼はそこで、ヒッピーのグループと親しくなる……。

1967年の夏、アメリカ・ミシガン州デトロイトで大規模な暴動が発生し、街が騒乱状態となる。2日目の夜、州兵集結地の付近で銃声が鳴り響いたという通報が入る。デトロイト警察、ミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元警備隊は、捜査のためにアルジェ・モーテルの別館に入る。数人の警官が、モーテルの宿泊客相手に捜査手順を無視した尋問を開始。自白を強要された宿泊客たちは……。

「ライトスタッフ」で一躍有名になったP・カウフマンが68年のチェコ動乱、いわゆる“プラハの春”を題材にして描いた超大作。若者の間に芽生えた民主化要求の波がソ連軍の軍事介入で圧殺されていく中、プレイボーイの医師と二人の女の青春が鮮烈に描かれる。古いニュース・フィルムと本編の画調を完璧に合わせるという離れ技を、ベルイマン作品で鳴らした名カメラマン、スヴェン・ニクヴィストが見事にやってのけている。

オーストラリアのジャーナリストと英国大使館員の恋を主軸に、現地のカメラマンの眼を通してインドネシアの政治的混乱を描く政治ドラマの傑作。出演はメル・ギブソン、シガニー・ウィーヴァー。

9年間の刑務所暮らしを終えて出所したウィルソン(テレンス・スタンプ)は、ひとり娘ステイシー(ニッキー・カット)がLAで事故死したという手紙を受け取る。死の真相を確かめるべく、手紙を出した彼女の友人エド(ルイス・ガズマン)を訪ねたウィルソンは、やがて彼女の死に大物音楽プロデューサーのテリー(ピーター・フォンダ )がからんでいるのを知る…。

60年代のアメリカ北東部。交通事故で大火傷を負い、人目を避けて生活する元教師マクラウドのもとに、孤独な少年チャックが現れる。二人はいつしか心を通わせるようになるが……。メル・ギブソンが監督・主演に挑んだ人間ドラマ。

“ザ・フー”の傑作ロック・オペラの映画化で、舞台での上演を想定して製作したレコードが大元。先の大戦で空軍パイロットの夫に先立たれ、ノーラは息子トミーと訪ねた夏のキャンプのガイド、フランクと再婚。が、ある夜、顔にひどい火傷を負い突如帰還した前夫に錯乱したフランクは彼を殴り倒し、それをトミーに見られてしまう……。

1968年、ロサンゼルスのアンバサダーホテルで起きたロバート・F・ケネディ暗殺事件をきっかけに、引退したドアマン、ホテルマネージャー、ラウンジ歌手、バスボーイ、美容師などの人生が交錯する。

親の反対を押し切って海洋学校の訓練航海に参加する17歳のチャック。同世代の11人の少年たちと船長を含む4人の大人を乗せた帆船アルバトロス号はやがて大海原へと出帆する。訓練中には様々な困難が起きるが、次第に仲間意識が出来てきた少年たちは船長の指揮の下、事態に対処していく。しかし、無事目的地にたどり着き、いざ帰還という段になって“白い嵐”と呼ばれる伝説の暴風雨がアルバトロス号を襲った。